2023.08.31

更地の固定資産税が高くなるのはなぜ?空き家との比較を含めて解説

更地の固定資産税が高くなる理由や固定資産税を滞納してしまうとどうなるのか、固定資産税を抑える方法などについて詳しくご紹介しています。
監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石 泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html

更地の固定資産税

空き家を所有していると、住んでいなくとも固定資産税がかかってしまうことは多くの方がご存じでしょう。しかし、空き家が建っている土地より更地のほうが固定資産税が高いということを知らない方は、意外と多いのではないでしょうか?「空き家を取り壊して更地にしたほうが、建物分の固定資産税が減って安くなりそう」と思っている方は要注意です。
この記事では、更地にかかる固定資産税についての考え方や、空き家にかかる固定資産税の負担を抑える方法などを解説します。空き家処分の方法を検討中の方は、ぜひ参考にしてくださいね。
まずは、固定資産税の計算方法と、更地ではなぜ固定資産税が高くなるのかについてお伝えしましょう。
●「更地の固定資産税」に関するよくある質問はこちら
模型の家と白いスペース

固定資産税の計算方法※1

固定資産税とは、土地や家屋といった「固定資産」の所有者に対して課される税金です。毎年1月1日に、固定資産税の計算の基礎となる「課税標準額」が自治体によって決定されます。この固定資産税の計算方法は、次の通りです。

固定資産税の計算方法

・固定資産税 = 固定資産の価格(課税標準額) × 税率1.4%
「課税標準額」とは、税金の計算の基礎となる金額のことです。家屋の課税標準額は通常、家屋の固定資産税評価額と同じになります。一方、土地の課税標準額は固定資産税評価額と必ずしも一致しません。これは、土地の固定資産税評価額には「住宅用地の特例」(後述)が適用されたり、土地の固定資産税評価額を3年ごとに見直す「評価替え」で税額が急激に上がらないよう、負担調整率をかけたりするためです。
なお、税率1.4%は標準税率であり、自治体によって異なる場合があります。所有する空き家のある自治体のホームページで調べてみましょう。
また、国土交通省によって定められた「市街化区域内」に土地や家屋を所有している場合は、都市計画税という税金も課されます。計算方法は以下の通りです。

都市計画税の計算方法

・都市計画税 = 固定資産の価格(課税標準額) × 制限税率0.3%
都市計画税の税率も自治体によって異なりますが、上限は0.3%となっています。

更地の固定資産税が高くなる理由※1

さて、上記のように固定資産税の計算方法をお伝えしましたが、なぜ更地の固定資産税が高くなってしまうのか、これだけでは分かりませんね。空き家が建っている土地より更地のほうが固定資産税が高い理由は、「住宅用地の特例」が適用されないためです。
住宅用地の特例とは、人が住むための家屋が建てられている土地の固定資産税を軽減するという、特例措置を指します。具体的な内容は以下の通りです。
固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地(面積200㎡以下) 固定資産の価格 × 1/6 固定資産の価格 × 1/3
一般住宅用地(面積200㎡を超える部分) 固定資産の価格 × 1/3 固定資産の価格 × 2/3
「小規模住宅用地」とは、200㎡以下の住宅用地のことです(敷地面積が200㎡を超える場合は、住宅1戸につき200㎡までの部分がそれにあたります)。小規模住宅用地の場合、固定資産税は1/6の額、都市計画税は1/3の額に軽減されることになります。一方「一般住宅用地」とは、上記の小規模住宅用地以外の住宅用地のことです。一般住宅用地の場合、固定資産税は1/3の額、都市計画税は2/3の額に軽減されます。
更地の場合、これらの軽減措置を受けられずに固定資産税・都市計画税の満額を支払うと考えると、かなり大きい差になることがお分かりいただけるでしょう。
ちなみに「空き家を取り壊して更地にすると、固定資産税が6倍になる」といわれることがありますが、これは厳密には間違いです。住宅用地の固定資産税は土地と家屋の両方にかかっているので、家屋を取り壊したことによって固定資産税全体が6倍に上がることはありません。ただし、土地にかかる固定資産税は6倍になるため、家屋の評価額にもよりますが、空き家を残している状態の3~4倍程度には税額が上がる点に注意しましょう。

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空き家の固定資産税

更地の固定資産税が高くなる理由は、住宅用地の特例が受けられないためであると上記ではお伝えしました。しかし、空き家を残しておいても、状況によっては住宅用地の特例が適用されない場合があります。
平家の空き家

特定空家等の固定資産税

空き家のなかでも管理状態が極めて悪いものは、法律により「特定空家等」に指定されることがあります。特定空家等に指定されてしまった場合、空き家を残しておいても住宅用地の特例は適用されません。すると、特例適用時に比べて土地の固定資産税は6倍になり、そのうえ建物の固定資産税も課されるので、結果的に更地よりも固定資産税が高くなってしまうのです。
「古い実家を相続したものの、遠方なので管理できない」「処分方法を決められないまま長期間放置している」といった方は、空き家が次項で挙げるような状態になっていないか、早めにチェックしましょう。

特定空家等に指定される状態※2

特定空家等に指定されやすいのは、次のような状態の空き家です。

「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」

老朽化によって建物が傾いていたり、屋根が変形して崩れやすくなっていたりすると、近隣家屋の破損・住民のけがなどにつながる場合があるので、特定空家等に指定されやすくなります。

「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」

ごみをためたまま放置している、浄化槽が壊れて汚物が流出しているといった不衛生な状態だと、悪臭や虫害などで近隣の住民に迷惑がかかる場合があるため、やはり特定空家等に指定されやすくなります。

「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」

外壁に落書きされていたり、窓ガラスが割れていたりする空き家は、「その地域の景観を損ねている」として特定空家等に指定される場合があります。

「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」

立木が伸びて道路まではみ出している、動物が住みついたりシロアリが発生したりしているなど、既に周辺の環境に悪影響を及ぼしていて放置できない場合も、特定空家等に指定されやすくなります。
固定資産税を抑えるためだけでなく、近隣住民に上記のような迷惑をかけないためにも、空き家の管理は適切に行う必要があります。

特定空家等に指定されるまでの流れ

行政から特定空家等に指定されるまでには、次のような流れがあります。
[ 1 ] 空き家の調査
[ 2 ] 特定空家等に指定
[ 3 ] 助言・指導
[ 4 ] 勧告
[ 5 ] 命令
[ 6 ] 行政代執行
「助言・指導」までの段階で所有者が空き家を適切に改善すれば、特定空家等から除外してもらえる可能性があります。しかし、改善されない場合は「勧告」を受け、住宅用地の特例が適用されなくなってしまいます。助言・指導を受けた際には、すぐ適切な対応を取るようにしましょう。
ちなみに、「命令」にも応じなかった場合には最大50万円の過料が科せられ、最終的には「行政代執行」によって、所有者の代わりに自治体が空き家を解体することになります。ただし、自治体による解体費用は税金で賄われ、解体費用の全額は空き家の所有者へ請求されるため、決して「代わりに自治体が片付けてくれる」というわけではありません。次にご紹介する、固定資産税を滞納した場合と同様、解体費用として賄われた税金の支払いを拒むと、車や家などの財産を差し押さえされてしまう恐れもあります。
このような事態を避けるためにも、空き家の管理・処分は速やかに行う必要があるのです。

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固定資産税を滞納するとどうなる?

使わない空き家や更地を持て余している方は近年多くなっていますが、これらを所有している限り、固定資産税は支払わなければなりません。「住んでいないから」あるいは「負担が重いから」といった理由で支払わずに滞納した場合、どのようなことが起こるのでしょうか?

延滞金の発生※3

固定資産税を滞納すると、延滞金が発生します。2022年1月1日から2023年12月31日までの期間では、納期限の翌日から1ヵ月間の利率は2.4%、それ以降は8.7%となっています。利率自体は極端に高いものではありませんが、固定資産税が高ければ高いほど延滞金も高くなる点には注意が必要です。

督促・催告書の送付

固定資産税を滞納した場合、納期限から20日以内に督促状が送付されることが法律で定められています。この督促状にも100円の手数料がかかっており、税金と一緒に支払わなければなりません。
督促状が届いても納税しなかった場合には、催告書が内容証明郵便で送付されます。催告書には最終的な納期限が記載されており、その期限をすぎると、後に解説する「差し押さえ」の手続きに入ってしまいます。

財産調査

督促状・催告書の送付後もなお固定資産税が支払われなかった場合には、財産調査が行われます。給与所得や預金、株式、保険、家財など、税金の回収のために差し押さえできる財産の内容が調べ上げられます。

差し押さえ

財産調査が終わり、納税されていなかった場合は差し押さえが実行されます。財産調査で確認された財産は全て税金の回収に充てられ、拒否することはできません。換金できる資産がない場合や、換金しても固定資産税を支払えない場合は、所有している土地や建物が差し押さえの対象となり、競売にかけられます。
ここまでの事態に至る前に納税することが最も重要ですが、とはいえ固定資産税の負担はやはり軽くないものです。少しでも負担を抑えるには、どのようにすればよいのでしょうか?次項でその方法をご紹介しましょう。

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固定資産税を安く抑える方法

固定資産税の負担は、次にご紹介する2つの方法で抑えることができます。

解体・建て替えのタイミングを調整する

空き家を所有している方は、解体や建て替えのタイミングによって、更地の固定資産税を抑えることができます。
まず、空き家の解体は1月1日よりも後に行いましょう。土地の固定資産税は1月1日に決まるので、1月1日の時点で土地の上にまだ建物が残っていれば、次の年も住宅用地の特例を受けられます。1月1日以前に解体を行ってしまうと、土地の固定資産税が決まる1月1日の時点で更地となっているので、住宅用地の特例を受けられません。
逆に、土地の上に新しい建物を建てる場合は、1月1日までに完成させるようにしましょう。そうすれば、次の年も住宅用地の特例を受けられます。解体にかかる期間は1~2ヵ月程度とされているので、1年のうちに空き家の解体と新しい建物の建築を済ませるには、計画的なスケジュール管理が大切です。
木造住宅の解体

所有している空き家は適切に管理する

空き家をすぐに解体する予定がなければ、管理を行いながら保存するようにしましょう。空き家が建っている土地より、更地の固定資産税のほうが高くなってしまうことは既にご説明した通りです。住宅がない土地には住宅用地の特例が適用されず、減額措置を受けられません。
ただし、住宅用地の特例を受けるには、適切な管理で空き家の老朽化を防ぐことが重要です。空き家の状態が悪くなって特定空家等に指定されてしまうと、やはり住宅用地の特例が適用されなくなるうえ、周辺住民にも迷惑をかけてしまいます。
空き家が遠方にある場合は、管理業者への依頼を検討するのがおすすめです。もし特定空家等に指定されてしまった場合は、行政からの助言や指導に従って速やかに対応することで、余計な費用がかかるのを防げます。

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土地活用でも税負担を減らせる

空き家や更地の固定資産税の負担を減らすには、土地活用も有効な手段です。ここでは、土地活用の例として「駐車場経営」をご紹介しましょう。
駐車場経営は、さまざまな土地活用のなかでも簡単で始めやすい方法です。賃貸住宅経営のようにアパートやマンションを建てる必要がないため、少ない初期費用ですぐ始められるのが、駐車場経営の魅力です。収入を得られれば、固定資産税の支払いや生活費に充てられるでしょう。将来、土地を別の用途で使いたくなった際も、建物がないので転用がスムーズです。
ちなみに、賃貸住宅経営の場合は、土地の上に住宅が建つことになるので、住宅用地の特例によって固定資産税を軽減できるというメリットがあります。しかし、初期費用が高額になってしまうことに加え、建物を建てている間は収入を得られないというデメリットにも注意しなければなりません。
以上のことから、「高い初期費用はかけられない」「なるべく早く土地活用で収入を得たい」という方には、駐車場経営がおすすめです。駐車場運営会社に土地を貸し出す「一括借り上げ方式」にすれば、経営状態にかかわらず毎月一定の賃料を得られるので、初心者の方にも安心でしょう。
一括借り上げ方式で駐車場経営を行う三井のリパークでは、料金精算機や看板などの設備費を全て負担、さらに運営管理も代行します。※4先進の駐車場ネットワークシステムと実績を生かし、その土地のニーズに合った最適な駐車場経営をご提案いたしますので、土地活用に興味がある方はぜひお気軽にご相談ください。経営リスクが少なく転用も楽な駐車場経営は、将来の活用方法を決めるまでの「つなぎ」としてもおすすめです。
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駐車場に並ぶ乗用車

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「更地の固定資産税」に関するよくある質問

この記事では、更地の固定資産税についてご紹介してきました。最後に重要なポイントを3つまとめましたので、ぜひチェックしてください。

空き家を取り壊して更地にしたほうが固定資産税は安くなる?

住宅が建っている土地は「住宅用地」として固定資産税の軽減措置を受けられますが、更地にするとその措置を受けられず、税額は上がってしまいます。
●詳しくはこちら

空き家を残しておけば、住宅用地の特例は適用される?

通常は適用されますが、空き家の状態が極めて悪い場合は「特定空家等」に指定され、住宅用地の特例を受けられなくなることがあります。
●詳しくはこちら

空き家の固定資産税の負担を減らす方法は?

住む予定のない空き家であれば、解体して土地活用を検討してみましょう。初心者にも始めやすい駐車場経営がおすすめです。
●詳しくはこちら
※1出典:総務省「固定資産税」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_15.html
(最終確認日:2023年3月23日)
※2出典:国土交通省「空家等対策特別措置法について」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001385948.pdf
(最終確認日:2023年3月23日)
※3出典:東京都主税局「都税の支払い方法について」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/common/tozei_nouzei.html
(最終確認日:2023年3月23日)
※4立地等によってはお受けできない場合もございます。建物解体、アスファルト舗装、外溝、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
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