病院の無断駐車は不法行為?
病院への無断駐車は、民法709条の不法行為にあたります。しかし、民事上の問題にあたるため、警察に相談したとしても積極的には対応してくれない可能性があります。また、病院の駐車場は私有地であるため、道路交通法も適用されません。一般的には当事者同士での問題解決が求められます。
病院で無断駐車されてしまうケース
病院で無断駐車されてしまうケースとしては、以下のようなものが考えられます。
・休診日で一般利用者がいない
・通院せず薬局にだけ立ち寄る
・コインパーキングが少ない住宅地に病院やクリニックの駐車場がある
・駅や商業施設などの近くに大型病院の駐車場がある
休診日で一般の病院利用者がいない場合は、「誰も見ていないだろう」「使っても問題ないだろう」といった考えから、無断駐車されてしまうことがあります。また、病院やクリニックの近くにある薬局を利用するための無断駐車も考えられるでしょう。
さらに、住宅地や商業施設、駅に近い病院やクリニックなども、無断駐車される可能性のある場所といえます。
病院の無断駐車対策5選
ここでは、病院の無断駐車対策について解説します。各対策の効果やコストなどを以下の一覧表にまとめました。
| 比較項目 |
コスト |
効果 |
管理の手間 |
| ホームページでの注意喚起 |
低 |
低 |
少 |
| 定期的な巡回 |
中 |
中 |
多 |
| 防犯カメラの設置 |
高 |
中 |
少 |
| 看板や張り紙での注意喚起 |
低 |
中 |
少 |
| 無断駐車車両への警告 |
低 |
中 |
中 |
5つの対策について、詳しく見ていきましょう。
ホームページでの注意喚起
病院のホームページでの注意喚起は無断駐車対策の1つです。ホームページで無断駐車がほかの利用者に与える影響について説明し、理解を促しましょう。
また、駐車場利用者が無断駐車を発見した際に通告するための連絡先を記載したり、フォームを設置したりすることで、問題の早期解決につながりやすくなります。
定期的な巡回
駐車場を定期的に巡回することも、無断駐車の対策として有効です。病院の無断駐車は、休診日や夜間など、誰も見ていないであろう日時に発生するケースもよくあります。駐車場の定期的な巡回を行えば、無断駐車の抑止になるだけでなく、無断駐車している車両の駐車時間を最小限に減らすことにつながるでしょう。
防犯カメラの設置
防犯カメラを設置することも、無断駐車対策に効果的です。定期的に駐車場を巡回するとなると、スタッフにも負担がかかります。しかし、防犯カメラを一度設置してしまえば、その後の管理の手間は軽減できるでしょう。
また、防犯カメラがあるということ自体が、無断駐車に対する抑止力となります。それだけでなく、録画データが証拠として残るという点でも、防犯カメラの設置は効果的な無断駐車対策となるでしょう。
私有地の無断駐車は「民事不介入の原則」により警察が介入できないことが一般的です。ただし、不審車両であれば防犯カメラの証拠をもとに通報できるため、所有者の特定や注意喚起に協力してもらえる可能性があります。
看板や張り紙での注意喚起
看板や張り紙を活用した注意喚起も、無断駐車対策の1つです。たとえば「無断駐車に対して罰金を設ける」といった看板や張り紙を設置するだけでも、無断駐車対策になるでしょう。しかし、こうした対策は抑止力とはなり得ても、実際に罰金を課すことは難しい点に注意が必要です。理由については、後ほど詳しく解説します。
無断駐車車両への警告
実際に無断駐車をしている車両に対して、張り紙を作成してワイパーに挟んで警告することも有効な手段です。このような方法をとることで、同一車両による繰り返しの無断駐車を防げるでしょう。また、無断駐車に対して厳しく対応しているというアピールにもなるため、ほかの車の無断駐車も抑止できる可能性があります。
駐車場をコインパーキング化するのが根本的な対策に
病院の無断駐車に有効な策はいくつかありますが、張り紙や防犯カメラの設置だけでは解決に至らない場合もあります。無断駐車問題の根本的な改善を目指すには、駐車場をコインパーキング化することがおすすめです。
駐車場をコインパーキング化することで、物理的に無断駐車ができなくなります。また、病院の営業時間中は来院する方が使えるのはもちろんのこと、営業時間外については来院以外の目的で駐車場を利用したい一般の方にも有料で使ってもらえるので、経営者としては両者のニーズを満たせて効率よく駐車場の運営が行えるでしょう。
広い土地でなければコインパーキング化するのは難しいと感じるかもしれませんが、小さい土地でも対応可能です。三井のリパークでは、全国1万6,000ヵ所(※1)を超える駐車場を管理するなど豊富な実績を持っており、病院の駐車場をコインパーキング化する場合でも安心してお任せいただけます。また、三井のリパークの一括借り上げ方式では、初期費用なしでコインパーキング化が可能です。ぜひ一度、三井のリパークにお問い合わせください。(※2)
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病院の無断駐車対策における注意点
病院の無断駐車対策を行う際は、駐車車両に傷を付けないことが重要です。「自力救済禁止」の原則があるため、無断駐車だからといって以下のようなことは認められていません。
・タイヤをロックする
・レッカーで移動させる
・警告の張り紙をテープで張り付ける
自力救済とは、司法の力ではなく、自身の力で権利を保護しようとすることです。このような行為で車両に傷を付けてしまうと、病院側が損害賠償を請求されたり、器物損壊で刑事罰に問われたりすることがあります。無断駐車対策を行う際は、こうした行動をしないように注意しましょう。
よくある質問
ここでは、病院の無断駐車に関連するよくある質問に答えていきます。
罰金を請求することはできる?
一般的には、病院への無断駐車に対して罰金は請求できません。罰金とは、国が国民に対して課すものであり、仮に病院が無断駐車に対して罰金を請求する旨の看板を設置したとしても、請求は難しいでしょう。
ただし、無断駐車自体は民法709条の不法行為にあたるため、損害賠償請求をすることは可能です。その場合、請求できるのは損害額であり、看板に記載した罰金の金額と一致するとは限りません。損害額は、診療時間中の無断駐車であれば営業損害が発生し、高額となることもあるでしょう。一方、休診日の無断駐車では、周辺の駐車場料金などから算出される土地利用料に相当する金額程度の請求となります。
また、クリニックが自宅と併設しており、自宅の駐車場も兼ねている場合は、刑法第130条の住居侵入罪または建造物侵入罪にあたることもあります。無断駐車が民法違反かは状況によって異なるため、実際に訴訟を起こす際は、弁護士をはじめとする専門家に相談するようにしましょう。
無断駐車は何時間まで違反にならない?
無断駐車が何時間まで違反にならないかは、無断駐車した場所が公道か私有地かによって異なります。私有地であれば、ここまで解説してきた通り道路交通法が適用されないため、土地の所有者の対応によるでしょう。公道では、道路交通法が適用されるため、自動車の保管場所の確保等に関する法律第11条により、一定の場所に12時間以上(夜間は8時間以上)駐車すると違反になります(※3)。ただし、運転者が車から離れており、すぐに発進できない状態の場合は、放置車両と見なされ、時間にかかわらず放置駐車違反となります。
病院の無断駐車対策は三井のリパークにおまかせ!
ここまで、病院の無断駐車が不法行為にあたるのかといったところから、無断駐車の対処法、対処時の注意点などに至るまで解説してきました。病院の無断駐車は不法行為にあたるものの、私有地内での出来事であるため、警察の介入は困難です。自力救済禁止の原則から自身で対処することも難しいため、事前の対策が重要といえます。特に、根本から無断駐車対策を行う場合は、駐車場をコインパーキング化することも視野に入れてみましょう。
三井のリパークでは、駐車場を一括で借り上げ、毎月一定の賃料をオーナーさまに支払う「一括借り上げ方式」のサービスを展開しています。一括借り上げ方式では、駐車場の清掃やトラブル対応といった管理業務を三井のリパークが行います。病院の無断駐車対策として、駐車場のコインパーキング化をご検討されている方は、ぜひ三井のリパークへご相談ください。(※2)
※1:2025年3月末時点。
※2:立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
※3出典:「自動車の保管場所の確保等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十五号)」、e-Gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000145/#Mp-At_11
(最終確認:2025年10月31日)