駐車場経営の失敗とは?
駐車場経営は土地の活用方法の1つです。ほかの土地活用の例としてはアパートやマンションを建てて貸し出す賃貸住宅経営や、コンテナ施設や建物を収納スペースの用途で貸し出すトランクルーム運営、土地信託を含む借地事業といった活用があります。駐車場経営は、ほかの土地活用方法と比べて必要になる初期費用が低く抑えられるため比較的気軽に始めやすく、売却や最終的な活用方法が決まるまでの間、固定資産税のほか維持費を確保したいといった一時的に収入が欲しいという人にもおすすめの土地活用方法です。
しかし、駐車場経営は気軽に始められるものの、事業である以上簡単に成功できるとは限らず、失敗してしまう恐れもあります。この記事では、駐車場経営を検討している方に向けて、駐車場経営に失敗してしまうケースとその対策をご紹介します。失敗を避けるためにぜひご参考にしてみてください。
失敗例1・駐車場経営の計画が不十分だった
駐車場経営は、気軽に始められるものの当然ながら無計画に始めると失敗してしまう恐れがあります。不十分な計画で失敗してしまった例を、原因別にいくつかご紹介します。
相場を把握していなかった
駐車場経営においては、相場を把握し、利用者の特性を理解してニーズに合わせることが重要です。利用者の特性を知ることで、駐車場の運営方式を決定することが可能になります。また、相場を把握しておかなければ、適切な料金設定ができません。たとえば近くに自分の経営する駐車場より料金の安い駐車場がある場合、そちらに利用者が流れてしまう可能性が高くなります。
近くに競合する駐車場があったり、新たに競合駐車場ができたりした場合の対策として、単に料金の「値下げをする」だけでは、収支のバランスが悪くなってしまいます。そのため、当初から駐車場の運営方式や施設、設備などを考えて、競合対策やニーズに合った工夫を凝らすことが大切です。たとえば運営方式として月極駐車場とした場合、収支のバランスを考えながら競合する駐車場と差別化するために砂利敷きからアスファルト舗装にするといった施設のアップグレードを行ってみたり、コインパーキングであれば、「昼間の料金を値下げした分、夜間の料金を上げる」や、「最大料金を変えてみる」といった料金設定の工夫を行ったりすることができるでしょう。
また同じ駐車場経営でも、利用者のニーズを捉えて、月極駐車場からコインパーキングへ運営方式を変えるといった見直しが必要な場合もあります。ただし、収入が減っても「赤字にならなければよい」とすることも考え方としてはあります。理想的な経営は個人によっても異なるため、まずは現状を把握し、収支を踏まえて、競合への対策を取ることが大切でしょう。
なお、当然ながら運営開始後は、利用率が高まる工夫も必要です。月極駐車場の場合、募集の委託先や告知を増やす、あるいは立地によってはカーシェア事業者と提携するといったことも1つの方法です。コインパーキングの場合、運営状況に合わせて料金・時間設定などの見直しを委託先の管理事業者と相談することもよいでしょう。
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立地が悪かった
そもそも駐車場としての需要が少ない立地だと失敗してしまう可能性が高いでしょう。立地の悪いケースの1つとしては、たとえばコインパーキングの場合なら、車の流れが少ない場所が挙げられます。また、コインパーキング、月極駐車場ともにいえることですが、車の利用者に対して既に駐車場が十分に存在している場合も同様です。
そのほか、その地域では車を利用する人が駐車場を借りて利用するケースが少ないといった場合もあります。たとえば車を駐車して利用する施設や事業所が周辺に少ない場合があるでしょう。
コインパーキングの場合、前面の道が狭いことも利用者が少なくなる原因になり得ます。狭い道では車の交通量も少なく、駐車場も目立ちません。さらに運転に不安がある人は駐車することを避けてしまう可能性もあり、利用者が思うように集まらない可能性が高くなってしまいます。
費用がどれだけかかるか把握していなかった
コインパーキングの場合、敷地の整備のほかに、設備機器の導入などの初期費用がかかります。駐車場経営は初期費用が抑えられることが特徴ですが、月極駐車場と比べると初期費用がかかります。想定される収入や経費をあらかじめ計算して、事業としての収支を見ておくことが必要です。特に、費用については、駐車場の運営方式や敷設する施設、設備機器によっても多く異なってきます。想定される収入に対して、投入する費用が適したものであるかをきちんと比較検討するとよいでしょう。
収支のバランスを測る指標の1つとして「利回り」があります。利回りにはいくつか種類がありますが、特に年間収入から年間にかかる経費を差し引いて、初期投資額で割った「実質利回り」を算出してほかの土地活用と比較、あるいは同じ駐車場経営でも運営方式ごとに比較することも大切です。
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失敗例2・駐車場経営によるトラブルが生じた
経営する駐車場内でトラブルが発生してしまうと予期せぬ出費が必要になる恐れもあります。特に個人で経営し、運営管理も行っている場合はトラブルへの対処を全て自分で行うことになり、手間と労力だけでなく、心労までかかってくるでしょう。ここではよくあるトラブルと対策方法をご紹介します。
駐車場内で事故・事件が起きてしまった
利用者が、壁や駐車している車、駐車場設備などに車をぶつけてしまったといった事故は駐車場であればどこでも起こり得ます。壁にぶつけた場合、それが隣の所有物である場合は、隣人とのトラブルに発展する恐れもあります。
利用者が駐車しているほかの車にぶつけた場合、私有地内の車同士の事故は警察の事故証明が出ないため、さらに揉めるケースもあり、管理者が巻き込まれることがあるため注意がひつようです。また、駐車場内は無人なことが多いため、窃盗やいたずらといった事件が起こることも考えられるでしょう。
事故や事件を起こした人が必ず名乗り出るとは限りません。名乗り出ない場合、管理者が修理費を負担するケースもあるため、最低限監視カメラを設置するといった対策は必要です。ほかの対策方法としては、駐車場内の事故や事件について一切の責任を負わない旨の注意書きをすることも挙げられます。ある程度トラブルが管理者に及ぶことを防止するものではありますが、注意書きをしても管理者側に過失があるようなケースは免責されないこともあるため、ほかの対策方法と併せて行うといったことを検討するとよいかもしれません。
放置車両、不正駐車を発見した
放置車両や不正駐車は駐車場経営をするうえで最も注意が必要なものです。放置車両や不正駐車によって車両が置かれていると、その分の稼働率が下がり、収入減につながってしまいます。ですが、放置車両と思われる車両や不正駐車があっても管理者側で勝手に車両を動かすことはできません。勝手に撤去や移動をさせると、訴えられて賠償を求められる恐れがあるため注意してください。
放置車両は、まずは見つけた段階で警察に相談するようにしましょう。事件性がなければ警察は関与しないため、放置車両や不正駐車車両の所有者の特定は管理者が行うことになります。こういった不正車両の所有者の特定や移動などを行う専門の業者もあるため、困ったときは依頼することも有効でしょう。ただし、その費用は管理者の負担になるため注意が必要です。
なお、車両を放置した人が特定できなかった場合、撤去するには裁判による手続きが必要です。この場合、裁判にかかる手続きの費用だけでなく、撤去費用も管理側が負担することになります。特に月極駐車場は、比較的侵入が容易なため不正駐車が起こりやすい傾向にあるため、対策をしっかり取るのがおすすめです。
一方、コインパーキングでは、ロック板を強引に乗り越えて料金不払いで退場する料金踏み倒しのケースや、出入り口のバーを壊して退場するケースのように料金不払いだけでなく、器物を破損される悪質なケースもあります。最近では長期の放置駐車による料金不払いというケースもあり、一部では社会問題化しているのが原状です。長期の放置駐車による料金不払いは、収益に直結する問題であるため、繰り返し発生すると収支が大きく狂ってしまいます。
こうしたトラブルに対処することを踏まえ、個人が自分で管理することが難しい場合は、専門の管理会社に依頼するのがおすすめです。
駐車場経営に失敗しないための対策
ここまでいくつかの失敗例をご紹介してきました。ここからは、駐車場経営に失敗しないためにできる対策をいくつかご紹介します。
市場調査をしっかり行う
周辺の駐車場の市場調査を行うことは駐車場経営の成功において必要不可欠です。たとえば、駐車場の位置、台数、車の出入りの多い時間帯、利用頻度の高い車種、駐車料金の相場や設定内容など、周辺の駐車場の利用状況を可能な範囲で調べましょう。また競合となる駐車場の実際の施設や設備の程度を知ることができるので、現地の駐車場を見て回るのもよいでしょう。インターネット上で公開されている情報も活用しつつ、きちんと調査することが大切です。
ただし、こうした調査を自分で行うのは簡単ではありません。従って、費用はかかりますが、市場調査を専門に行う会社に調査を依頼するのが、一般的です。しっかりした市場調査を行うことで、確度の高い駐車場経営の事業計画を立てることができます。
稼働率が低い場合も想定する
駐車場経営を行っていくうえでは、予想通りになるとは限りません。事業計画を立てるときには、最もよい状態の数値を想定するだけでなく、稼働率が低い場合も想定しましょう。特に、損益分岐点を見極めることが大切なので、利用料と稼働率のバランスにおいて、どのような料金設定や稼働率であれば収益が出るのかを把握するようにしましょう。当然ながら、損益分岐点を分析することは、適切な料金設定にもかかわってきます。
また、事業計画を立てる場合、管理委託費や税金などの維持管理にかかる費用も計算することを忘れないようにしてください。その際、費用についてはやや多めに計上して保守的に見積もるようにするとよいでしょう。
不正駐車や犯罪の対策をする
経営に支障を来す月極駐車場の不正駐車を防ぐには、簡単な対策を取ることでも一定の効果が期待できます。たとえば月極駐車場であれば、利用していないときは駐車区画にコーンを設置する、出入り口にチェーンやロープなど簡易的な通行防止対策をするといったように、駐車する際にひと手間かけさせることで安易に駐車しにくくなるでしょう。
また、駐車区画の幅を少し広くすることで、場内での車同士の接触トラブルが減少するだけでなく、周囲からの目線が届くため窃盗をはじめとする犯罪を抑止する効果も期待できます。
さらに、監視カメラを設置することで、駐車場内の事件や、トラブルを抑止することができます。監視カメラの映像があれば、トラブルが起きたときでも証拠として活用できる可能性があるため、防犯効果が高まるでしょう。
駐車場経営に失敗しないポイント
この記事では駐車場経営に失敗するケースとその対策についてご紹介しました。駐車場経営はほかの土地活用の方法と比べて初期費用が少なく手軽に始めやすい点でおすすめですが、事業である以上、失敗するリスクもあることは否めません。経営に失敗しないためには市場調査をしっかりしてから事業を始めることが大切です。
また、上記でご紹介した失敗例は駐車場管理・運営会社に任せることで解決できることもあります。駐車場の管理や運営を外部に委託する方法は、管理のみを委託する「管理委託方式」、土地を運営会社に貸し出して賃料を得る「一括借り上げ方式」の主に2種類があります。特に一括借り上げ方式は、運営準備から運営・管理まで、土地所有者の手間を省き、安定した収入が欲しい方におすすめです。
なお、駐車場経営は、万が一経営に失敗してしまった場合でも比較的原状回復が容易なので、ほかの業態への転換がしやすいこともメリットです。三井のリパークの一括借り上げ方式では、機器費用、設置費用、運営管理費用0円でコインパーキングを経営することが可能で、※1運営を終了する場合でも、オーナーさまが原状回復費用を負担することはありません。※2トラブルへの対処も行うため、手間がかからず、安心して経営を行えます。ご興味のある方はぜひ一度お気軽にご相談ください。
また三井不動産グループでは、土地・住宅の購入、売却をバックアップします。駐車場から土地の転用をお考えの場合もぜひご相談ください。
※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
※2 当初契約期間内にオーナーさまから解約される場合は除く。