2025.10.21

土地の相続税はいくらかかる?自分で計算する方法や税金対策について解説

土地の相続税がいくらかかるのか、不安な方は多いでしょう。この記事では、土地の相続税評価額の調べ方や相続税の計算方法、節税に役立つ特例などについて解説します。
監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石 泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html

親の土地を相続したら税金はいくら?

親が所有する実家があり、土地を相続する可能性がある方は、相続税がいくらかかるのか気になるのではないでしょうか?
そもそも相続税とは、被相続人(亡くなった人)の財産を、相続人が受け取ったときにかかる税金のことです。しかし、相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人数」分の基礎控除があるので、土地も含めた遺産総額がこれを下回る場合、相続税はかからないということになります。
土地にかかる相続税は自分でも計算できるので、あらかじめ調べておけば、相続の不安は解消されるでしょう。この記事では、土地の相続税の具体的な調べ方について解説していきます。
相続税がかかる土地

土地の相続税評価額の調べ方

土地や建物など不動産の相続税を計算する際には、その不動産の「相続税評価額」を用います。相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算するときの基準となる課税価格のことです。評価方法は資産ごとに決められており、土地の場合は「路線価方式」と「倍率方式」という2つの評価方法のいずれかで行います。

路線価方式

路線価方式とは、相続した土地(地域)の「路線価」を用いる評価方法です。路線価とは、道路に面した宅地1㎡あたりの価額のことで、相続税を計算する際には「路線価」を用います。路線価方式による相続税評価額の計算式は、以下の通りです。
土地の相続税評価額=地積(面積)×路線価×補正率
「地積(面積)」は、固定資産税の納税通知書で確認できます。土地を複数人で共有していて自分の持ち分が分からない場合は、法務局で登記簿謄本を見て確認しましょう。
「路線価」は、毎年国税庁が発表しており、国税庁のホームページ「路線価図・評価倍率表」から確認できます。
●国税庁「路線価図・評価倍率表」についてはこちら
「補正率」とは、路線価だけでは反映しにくい土地の価値を、より正確に土地の相続税評価額に反映するための数値です。補正率の例には、面している道路から奥行きの距離が長過ぎる、あるいは短過ぎる土地に用いられる「奥行価格補正率」や、形がいびつな土地に用いられる「不整形地補正率」、道路に接する面積が狭い土地に用いられる「間口狭小補正率」などが挙げられます。

倍率方式

都市部や住宅地など、全国の主な地域では路線価方式を用いるのが一般的です。しかし、郊外の地域では路線価が定められていないこともあり、その場合には倍率方式を用いて評価します。倍率方式の計算式は、以下の通りです。
土地の相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
「固定資産税評価額」とは、各自治体で定める不動産価格のことで、納税通知書で確認できます。また、ここでの「倍率」とは、対象の土地ごとに定められた一定の倍率のことです。倍率は、国税庁のサイトで確認できます。
土地の相続税評価額

相続税の計算方法とシミュレーション

ここからは、相続税の計算方法を具体的にご紹介します。

計算方法

相続税の計算は、以下の手順に沿って行います。
1.まず土地や建物など、それぞれの相続税評価額を合計し、各相続人の課税価格の合計額を算出
2.[1]で出した金額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、課税遺産総額を算出
3.[2]で出した課税遺産総額を、各法定相続人が法定相続分に従って取得したものと仮定し、各法定相続人の法定相続分に応じた取得金額を算出
4.[3]で出した各法定相続人の法定相続分に応じた税額を計算(計算方法は、下表※1の速算表を用い、各人の取得額に税率を乗じた後、控除額を引いて算出)
5.[4]で出した各法定相続人の算出税額を合計して相続税の総額を算出
6.[5]で出した相続税の総額を、各相続人の課税価格に応じて割り振り、相続人ごとの税額を算出
7.[6]で出した各相続人の税額から各種の税額控除額を差し引いて、各相続人の納付税額を算出
<表> 相続財産にかかる税率(速算表) ※税額 = 取得金額 × 税率 - 控除額
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
(※1)

シミュレーション

上記でご紹介した方法を応用して、実際に計算してみましょう。条件は以下の通りです。
<例>
・遺産総額…1億4,000万円
・相続人…配偶者と子ども2人(配偶者が1/2、子どもがそれぞれ1/4ずつの割合で相続)
1.相続人は配偶者と子ども2人なので、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3=4,800万円」となり、遺産総額の1億4,000万円から基礎控除額(4,800万円)を引いた「9,200万円」が課税される遺産の総額となる
2.配偶者の法定相続分は1/2、子ども(2人以上のとき)の法定相続分は全員で1/2なので、各法定相続人の法定相続分に応じる取得金額は、配偶者は4,600万円(9,200万円÷2)、子どもはそれぞれ2,300万円(9,200万円÷2÷2)となる
3.上の表より、各法定相続人の法定相続分に対する税額は、配偶者は720万円(4,600万円×0.2-200万円)で、子ども1人分の税額は295万円(2,300万円×0.15-50万円)
4.相続税の総額は1,310万円(720万円+295万円+295万円)
5.相続税の総額1,310万円を各相続人の課税価格に応じて割り振り、配偶者の税額は655万円(1,310万円÷2)、子ども1人分の税額は327.5万円(655万円÷2)となる
6.この後、[5]で出した各相続人の税額から各種の税額控除額を差し引き、納付税額が決まる
税額控除の例については、以下で解説します。
相続税の計算

土地の相続税を抑えるためのポイント

土地も含めた遺産にかかる相続税は、控除や特例を活用することで節税できます。

配偶者の税額の軽減

「配偶者の税額の軽減」とは、相続をする配偶者が相続税の優遇を受けられる制度です。課税対象の額が、以下のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。
・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分相当額
つまり、上記でご紹介したシミュレーションの場合、遺産総額1億4,000万円のうち配偶者が1/2の割合で相続するので、相続税はかからないことになります。

未成年者の税額控除

相続人が未成年で、定められた条件を満たしている場合、相続人が満18歳になるまでの年数に10万円をかけた額が相続税額から控除されます。たとえば、相続人が14歳7ヵ月の場合、7ヵ月を切り捨て、18歳まで4年間あるとして計算し、未成年者控除額は「10万円×4年=40万円」となります。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、被相続人が事業や居住用に使用していた宅地の相続税評価額を、最大で80%減額できる制度です。ただし、減額される割合や限度面積は、対象の土地の状況によって異なります。詳しくは、以下の国税庁のサイトでご確認ください。
●国税庁「小規模宅地等の特例」についてはこちら

土地を活用することも相続税対策になる

相続した土地は、売却するよりも活用したほうが次の相続税対策につながる可能性があります。なぜなら、現金の相続税評価額はその金額通りとなりますが、土地の相続税評価額は時価より低く評価されるためです。特に、不動産のなかでも収益物件は低く評価される傾向があります。
次の相続がない方の場合でも、売却を決める前に土地活用を検討してみるのがおすすめです。売却で得られる収入は一時的なものですが、活用すれば長期的な収入を見込めるかもしれません。
土地活用を検討する場合は、比較的簡単な活用法で、ほかの用途への転用もしやすい駐車場経営がおすすめです。駐車場経営とは、土地に月極駐車場やコインパーキングを設けて利用料を得る土地活用方法を指します。
賃貸住宅経営や高齢者施設経営と違って、大きな建物を建てる必要がないため、安い初期費用ですぐに始められるのがメリットです。また、駐車場専門の運営会社と契約を結べば、経営や管理が不安な初心者の方も、安心して土地活用を始められます。
●駐車場経営の基礎知識についてはこちら
●土地活用の方法についてはこちら
初期費用が安く始めやすい駐車場経営

よくある質問

ここでは、土地の相続税についてよくある質問に回答します。

評価額の調べ方は?

土地の相続税評価額を調べるには、「地積(面積)×路線価×補正率」で計算するのが一般的です。路線価が定められていない地域の土地は「固定資産税評価額×倍率」で求められます。

申告時に必要な書類は?

土地の相続税を申告する際、本人確認のために、以下の書類が必要になります。
・番号確認書類(マイナンバーカードや通知カード、住民票の写しなど)
・身元確認書類(マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど)
・戸籍謄本(相続人全員分)
遺言書や遺産分割協議書がある場合には、それらの写しが必要になるケースがあります。また、控除や特例の適用を受ける際にも、それぞれに必要な書類があります。申告には期限があるので、早めに準備して手続きをしましょう。
相続税の申告書

土地の相続税に賢く対応しよう

ここまで、土地の相続税評価額の調べ方や基礎控除を含めた相続税の計算方法、節税方法について紹介してきました。
土地を相続しても利用する予定がない方は、売却する前に駐車場として活用する選択肢を検討してみましょう。相続した土地を利用しないまま放置すると、税金や管理費用だけがかかってしまいますが、活用すれば収入を得られる可能性があります。また、駐車場経営は初期費用が安く、その後の転用や売却もしやすいので手軽です。
三井のリパークでは、駐車場経営のご相談に対応しています。一括借り上げ方式なら、初期費用や運営費用もかからず、毎月一定の賃料を収益として得られるので初心者の方も安心です。その後の転用や売却の際も、三井不動産グループがお客さまのご要望に沿ってサポートいたします。土地を有効に活用したい方や駐車場経営に不安をお持ちの方は、ぜひご相談ください。(※2)
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●駐車場経営にかかる税金と節税方法についてはこちら
※1 出典:「No.4155 相続税の税率」、国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
(最終確認:2025年5月30日)
※2 立地によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
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※立地等によってはお受けできない場合もございます。 ※建物解体、アスファルト舗装、外溝、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさま(土地所有者様)のご負担となります。
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