2024.02.22

土地の相続税はいくらかかる?自分で計算する方法や税金対策について解説!

土地の相続税の計算は、多くの手順があるため、分かりにくいと感じている方もいるでしょう。この記事では土地の相続税評価額の調べ方や相続税の計算方法、節税方法について解説します。
監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石 泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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土地の相続税とは

相続税とは、被相続人(亡くなった人)の財産を相続するときに相続人が受け取った財産にかかる税金のことで、遺産が定められた控除額を超えると相続税が課せられます。相続税の金額は、相続する遺産総額や相続人の数によって変動します。
遺産総額は相続する財産の評価額(相続税評価額)を用いて計算します。たとえば、現金や預貯金を相続する場合は額面通りの価格が評価額となり、土地や建物などの不動産を相続する場合は相続税評価額を用いて計算します。
相続税は遺産総額が高くなれば税率も高くなりますが、相続税には「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数」分の基礎控除があり、遺産総額がこれを下回る場合、相続税はかかりません
土地の相続税の計算は、多くの手順があります。この記事では、土地の相続税評価額の調べ方や基礎控除を含めた相続税の計算方法、節税方法についてご紹介します。
土地や住宅を相続する際の相続税

土地の相続税評価額の調べ方

土地の相続税評価額は、相続税や贈与税を計算するときの基準となる課税価格で、資産ごとに決められた評価方法に従って計算されます。また、土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

路線価方式

路線価方式は、相続した土地(地域)に路線価が定められている場合に用いられる評価方法で、土地の相続税評価額は、以下の計算式で求めることができます。
土地の相続税評価額 = 地積(面積) × 路線価 × 補正率
「地積(面積)」は、固定資産税の納税通知書で確認することができます。土地を複数人で共有していて、自分の持ち分が分からない場合は法務局で管理している登記簿謄本を見て確認しましょう。
「路線価」は、毎年国税庁が発表しています。土地の評価額が千円単位で表示されており、国税庁のホームページ「路線価図・評価倍率表」にアクセスして確認することができます。
国税庁「路線価図・評価倍率表」はこちら
「補正率」とは、路線価だけでは反映しにくい土地の価値をより正確に土地の相続税評価額に反映するための指標で、その土地の奥行きや、形状、利用のしやすさなどに応じた評価の補正に用いられます。
補正率の例として、面している道路から奥行きの距離が長過ぎる、あるいは短過ぎる土地に用いられる「奥行価格補正率」や、形がいびつな土地に用いられる「不整形地補正率」、道路に接する面積が狭い土地に用いられる「間口狭小補正率」などが挙げられます。
奥行価格補正率や不整形地補正率などがどのように土地の評価額に影響するかは、以下の国税庁のサイトで確認することができます。
国税庁「奥行価格補正率表」はこちら

倍率方式

倍率方式は、相続した土地(地域)に路線価が定められていない場合に用いられる評価方法で、固定資産税評価額に国税庁が定めた倍率を乗じて相続税評価額を算出します。計算のもとになる固定資産税評価額は納税通知書で確認できます。
土地の相続税評価額

相続税の計算方法

ここからは、相続税の計算方法を具体的にご紹介します。相続税の計算は、以下の手順に沿って行います。
[ 1 ]土地や建物など、それぞれの相続税評価額を合計し、各人の課税価格の合計額を算出
[ 2 ][ 1 ]で出した金額から基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を差し引き、課税遺産総額を算出
[ 3 ][ 2 ] で出した課税遺産総額を、各法定相続人が法定相続分に従って取得したものと仮定し、各法定相続人の法定相続分に応じた取得金額を算出
[ 4 ][ 3 ] で出した各法定相続人の法定相続分に応じた税額を計算(計算方法は、下表※1の速算表を用い、各人の取得額に税率を乗じた後、控除額を引いて算出)
[ 5 ][ 4 ]で出した各法定相続人の算出税額を合計して相続税の総額を算出
[ 6 ][ 5 ]で出した相続税の総額を、各相続人の課税価格に応じて按分し、相続人ごとの税額を算出
[ 7 ][ 6 ]で出した各相続人の税額から各種の税額控除額を差し引き、各相続人の納付税額を算出
<表> 相続財産にかかる税率(速算表) ※税額 = 取得金額 × 税率 - 控除額
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
※1
たとえば、遺産総額が1億4,000万円で、配偶者と子ども2人が相続する場合(配偶者が1/2、子どもがそれぞれ1/4ずつの割合で相続する場合)、前述した[ 1 ]から[ 7 ]の手順に沿って、以下の流れで相続税を計算します(各種の税額控除分の計算を除く)。
[ 1 ]遺産総額は1億4,000万円
[ 2 ]相続人は配偶者と子ども2人なので、基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円」となり、遺産総額の1億4,000万円から基礎控除額(4,800万円)を引いた「9,200万円」が課税される遺産の総額となる
[ 3 ]配偶者の法定相続分は1/2、子ども(2人以上のとき)の法定相続分は全員で1/2なので、各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額は、配偶者は4,600万円(9,200万円 ÷ 2)、子どもは それぞれ2,300万円(9,200万円 ÷ 2 ÷ 2)となる
[ 4 ]上の表より、各法定相続人の法定相続分に対する税額は、配偶者は 720万円(4,600万円 × 0.2 - 200万 円)で、子ども1人分の税額は295万円(2,300万円 × 0.15 - 50万円)
[ 5 ]相続税の総額は1,310万円(720万円 + 295万円 + 295万円)
[ 6 ]相続税の総額1,310万円を各相続人の課税価格に応じて按分し、配偶者の税額は655万円(1,310万円 ÷ 2)、子ども1人分の税額は327.5万円(655万円 ÷ 2)となる
[ 7 ]この後、 [ 6 ]で出した各相続人の税額から各種の税額控除額を差し引き、納付税額が決まる
税額控除の例については、以下で解説します。
相続税の計算

土地の相続税を抑えるためのポイント

相続税は、控除の仕組みや相続税評価額が減額される特例を活用することで納税額を抑えることができます。ここでは、控除や特例をいくつかご紹介します。

配偶者の税額の軽減

「配偶者の税額の軽減」とは、相続をする配偶者が相続税の優遇を受けられる仕組みのことで、課税対象の額が以下のどちらか多い金額まで相続税がかかりません
・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分相当額
つまり、1億6,000万円までなら配偶者に相続税はかからず、上記で紹介した遺産総額が1億4,000万円で配偶者が1/2の割合で相続する場合、相続税はかからないことになります。

未成年者控除

相続人が未成年で、定められた条件を満たしている場合、相続人が満18歳になるまでの年数に10万円をかけた額が相続税の金額から控除されます。たとえば、相続人が14歳7ヵ月の場合、7ヵ月を切り捨て18歳まで4年間あるとして計算し、未成年者控除額は「10万円 × 4年 = 40万円」となります。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、小規模住宅地で定められた割合に応じて相続税評価額が減額される特例で、被相続人がその土地を事業に用いていたか、居住用として利用していたかで減額される割合や限度面積が異なります。たとえば、一定要件を満たす自宅の土地である場合、評価額が最大80%減額になる可能性があります。
具体的な条件や減額される割合、限度面積などは、以下の国税庁のサイトで確認することができます。
国税庁「小規模宅地等の特例」はこちら

土地の相続税の申告時に必要な書類

土地の相続税を申告する際、以下の書類が必要になります。
・番号確認書類(マイナンバーカードや通知カード、住民票の写しなど)
・身元確認書類(マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなど)
・固定資産税評価明細書
・戸籍謄本(相続人全員分)
・印鑑登録証明書(相続人全員分)
上記のほかにも、遺言書や遺産分割協議書がある場合には、それらの写しが必要になるケースがあります。余裕を持って、事前に準備しておきましょう。
相続税の申告書

土地を購入し、活用することで相続税対策になる

土地の相続税評価額は、実際の時価より低くなる場合があり、現金でそのまま相続するより、持っている現金で土地を購入してその土地を相続したほうが相続税の額が少なくなる可能性があります。そのため、生きているうちに持っている資産で土地を購入することで、将来的に子や孫が負担する相続税を軽減させることにつながるかもしれません。
相続人が土地を相続して、その土地を利用する予定がない場合、土地活用の方法として、駐車場経営を行うという選択肢があります。駐車場経営とは、土地に月極駐車場やコインパーキングを設けて駐車料を得る土地活用方法の1つです。
駐車場経営は、土地を相続されて使い道を検討している土地活用初心者の方におすすめします。というのは、住宅のような大きな建物を建てる必要がないため、初期費用が比較的安く、短期間で始められるからです。また、駐車場経営を自分で行うことに不安を感じる場合、専門の駐車場管理会社と契約を結べば、運営管理の多くを任せることも可能ですし、会社によっては初期費用を低く抑えて始められる場合もあります。
●駐車場経営の基礎知識に関する記事はこちら
●土地活用のメリットや成功のポイントに関する記事はこちら
駐車場経営のイメージ

土地の相続税に関する知識を付けておこう

ここまで、土地の相続税評価額の調べ方や基礎控除を含めた相続税の計算方法、節税方法について紹介してきました。土地を相続する際、ご紹介した情報をぜひ参考にしてみてくださいね。
土地を相続して、その土地を利用する予定がない方は、駐車場として活用する選択肢を検討するとよいでしょう。相続した土地を利用しないまま放置すると、固定資産税や都市計画税などの税金や管理費用だけがかかってしまいます。駐車場の経営は、建物の建築が必要な賃貸住宅経営に比べて、初期費用が安く、転用性が高いというメリットがあります。
なお、三井のリパークでは、駐車場の経営に必要な設備の設置や運営管理業務に幅広く対応しています。土地活用初心者の方でも安心して駐車場経営を始められるよう一括借り上げ方式の運営管理サポートを行っており、その場合、初期費用や運営費用は三井のリパークが負担し、土地のオーナーさまは毎月安定した賃料を収益として得ることができます。また、三井不動産グループとして、不動産に関する豊富なノウハウを活用して、お客さまのご要望に沿った提案が可能です。土地を有効に活用したい方や駐車場経営に不安をお持ちの方はぜひご相談ください。※2
●三井のリパークへのご相談はこちら
●駐車場経営にかかる税金と節税方法に関する記事はこちら
※1 出典:No.4155 相続税の税率、国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm
(最終確認:2023年12月5日)
※2 立地によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
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※立地等によってはお受けできない場合もございます。 ※建物解体、アスファルト舗装、外溝、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさま(土地所有者様)のご負担となります。
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