空き家解体における補助金制度の基礎知識
空き家解体における補助金制度とは、空き家の適切な解体を進め、空き家の放置や老朽化による倒壊、景観を損ねてしまうリスクを減らすことを目的に、各自治体が設けている制度の1つです。制度によって適用条件や内容が異なるため、空き家が建っている自治体のホームページ等で確認することが大切です。ここでは、補助金制度の概要について具体的に解説します。
補助金制度の目的
空き家解体における補助金制度の目的は、街の景観保全、倒壊や犯罪の防止などが挙げられます。たとえば、空き家を放置しておくと老朽化によって街の風景が悪化してしまいます。倒壊によって近隣住民に被害が及ぶ恐れもあり、放火や不法投棄など犯罪の温床となる可能性も否定できません。
日本では、空き家が深刻な問題となっています。総務省が実施した「令和5年住宅・土地統計調査」によると1978年に約268万戸だった空き家の数は2023年には約900万戸と3倍以上に増加し、総住宅数に対する空き家の割合を示す空き家率も1978年の7.6%から2023年の13.8%に増加するなど過去最高を更新し続けています。(※1)
国は空き家問題の解決に向けて、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しています。2023年にはその一部が改正され、適切な管理がされていない空き家への措置が強化されています。補助金制度もこうした取り組みの一環として捉えるとよいでしょう。
補助金の相談窓口は各自治体
空き家を解体するための補助金制度は、国土交通省の財源を活用して各自治体が運用しています。そのため、そもそも補助金制度を設けていない自治体もありますし、申請の条件や内容も異なります。空き家の補助金について相談したいときは、まず、空き家がある市区町村の役所に確認することをおすすめします。
補助金の上限は30万円~100万円が目安
自治体によって異なりますが、空き家の撤去・解体を促進する補助金の上限は30万円~100万円が目安となっています。また、上限額いっぱいで支給されるのではなく、かかった費用のうち何割かを補助する形式が一般的です。
空き家解体に利用できる補助金の種類
空き家解体時に利用できる補助金は、解体の目的によって「老朽化して倒壊の危険がある家の解体を補助するもの」「耐震面で問題がある建物の建て替え費用を補助するもの」「街の景観を守るために老朽化した家の解体費用を補助するもの」の3つに分けることが可能です。
なお、各補助金制度は、自治体によって名称が異なります。調べる際には「空き家の解体への支援、補助金」といった主旨で検索してみましょう。
以下にそれぞれの補助金の目的と支給額の目安を一覧表にまとめました。
| 助金の種類・目的 |
支給額の目安 |
| 老朽化して倒壊の危険がある家の解体を補助するもの |
解体費用の1/5~1/2程度 |
| 耐震面で問題がある建物の建て替えを補助するもの |
自治体によって細かく異なる |
| 街の景観を守るために老朽化した家の解体を補助するもの |
解体費用の1/5~1/2程度 |
それぞれがどのような補助金なのか、順番に解説していきます。
老朽化して倒壊の危険がある家の解体を補助するもの
空き家に関する補助金のうち、代表的なものは、老朽化により倒壊の恐れがある空き家の解体を促すための補助金制度です。たとえば、「老朽危険家屋解体撤去補助金」や「空き家解体費用助成」などの名称になっていることがあります。
人が住んでおらず古くなった空き家は、適切な換気がなされないため劣化しやすく、手入れや修繕も行われないことから、倒壊につながる恐れがあります。自治体が審査のうえ、解体が必要と判断した場合に適用されます。
この補助金制度では、申請の前に自治体による老朽危険家屋にあたるかの現地調査があるため、まずは空き家の所在地を管轄する自治体に問い合わせることをおすすめします。また、この補助金の支給額は、解体費用に対する1/5~1/2程度が一般的であるといわれていますが、自治体ごとに判断が異なるため、注意しましょう。
耐震面で問題がある建物の建て替えを補助するもの
耐震面で問題がある建物は、解体費用だけでなく建築費用の一部も補助を受けられることがあります。「建て替え建設費補助金」や「耐震改修等助成制度」などの名称を使っていることがあります。自治体によって細かい条件が決まっており、支給額も異なるため、事前の確認が必要です。
街の景観を守るために老朽化した家の解体を補助するもの
街の景観保全の目的で交付される補助金制度もあります。この制度を利用する場合は、空き家の解体工事後に、街の景観形成基準を満たす土地利用をしなくてはならないのが特徴です。支給額は解体費用の1/5~1/2程度といわれていますが、ほかの補助金制度と同様に、自治体に問い合わせて確認をしましょう。
【具体例】空き家解体に利用できる自治体ごとの補助金
ここからは、各自治体で利用できる補助金の具体例を見ていきましょう。今回は、5つの地域を紹介します。
| 地域 |
空き家解体の補助金制度 |
補助金額 |
| 東京都荒川区 |
古い空家の解体費助成 |
解体費用の2/3かつ上限100万円 |
| 神奈川県横浜市 |
住宅除却補助制度 |
以下のうち、最も低い額
・補助上限額
・面積限度額
・工事費
|
| 埼玉県行田市 |
老朽空き家等解体補助制度 |
解体費用の1/2以内かつ上限30万円 |
| 大阪府和泉市 |
老朽危険空家等除却補助金 |
上限40万円 |
| 福岡県北九州市 |
老朽空き家等除却促進事業 |
上限30万円 |
補助金制度の種類や金額は地域によってさまざまです。空き家の解体時に補助金を利用したい場合は、各自治体のホームページでどのような補助金制度を実施しているか、事前に内容を調べることをおすすめします。検索しても分からない場合は電話で問い合わせて、知りたいことを直接尋ねてみるのもよいでしょう。
また、補助対象になる空き家の要件は各自治体で制定されていますが、「先着〇件まで」「予算の上限に達し次第終了」などと適用数や予算に限りがある場合、要件に該当しても補助金が交付されないケースがあります。その場合は、来年度に改めなければいけないということに留意して、自分に該当する自治体の情報を確認しましょう。
空き家解体の補助金の申請から受け取りまでの流れ
自治体によって必要な書類や審査基準は異なりますが、空き家解体の補助金を申請してから受け取るまでに、主に5つのステップを踏む必要があります。基本的に、以下のステップに沿って補助金の申請から受け取りまで行います。
1.事前相談
2.申請
3.審査
4.解体工事
5.補助金受け取り
以下からは、それぞれのステップについて詳しく見ていきます。
1.事前相談
まずは各自治体の窓口で事前相談をし、これから行おうとしている空き家の解体工事が補助金の対象となるかどうかを確認します。1年以上住んでいない、新耐震基準を満たしていない、老朽化が著しく倒壊の恐れがあるといった場合は、補助金の対象となる可能性が高くなります。
2.申請
事前相談で補助金の対象になり得ると確認ができたら、各自治体の窓口へ申請を行います。なかには、条件を満たしていても、申請前に工事を始めてしまったために補助金を受け取れなかった事例もあるので必ず解体前に相談しましょう。申請のタイミングによっては、補助金が年度の上限に達し、受付を終了している場合もあるので注意が必要です。なお、申請には多くの書類が必要になるため、早めの準備を心がけましょう。
3.審査
申請を終えたら、自治体による審査が入り、建物の老朽化の程度や周囲への影響などを見られます。書類だけでなく現地調査も実施されるのが一般的で、期間としては約1ヵ月かかります。申請が集中する時期にはさらに時間を要する場合もあるため、余裕を持ったスケジューリングが大切です。
4.解体工事
審査に通れば交付決定通知が発行され、工事に着工できます。解体工事を行う際は、自治体への届け出や工事完了報告を期限内に行わなければいけません。こうした手続きは解体業者が代行することが多いため、信頼できる解体業者に依頼することが大切です。また、補助金が給付される場合は、申請した自治体の管轄エリア内に事業所がある業者に限定されるケースが一般的です。各自治体のルールを確認して業者を選ぶようにしましょう。
5.補助金受け取り
工事が終了したら自治体に完了報告を行い、求められる書類を提出し、請求を行うことで補助金を受け取ることができます。補助金を滞りなく受け取るためには、必要書類を事前に確認しておくことが重要です。また、補助金が得られるまで工事費用は自己負担となるため、余裕を持った資金計画を立てましょう。
空き家解体の補助金を受け取る際の注意点
空き家解体の補助金を受け取る際は、自治体ごとの違いや、税金の減免措置が受けられなくなるといったことに注意が必要です。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
自治体によって補助金を受け取れる条件が異なる
まず、自治体によって補助金を受け取れる条件が異なる点に注意が必要です。全国の多くの自治体に補助金制度が設けられていますが、内容や適用条件はさまざまです。対象となる工事も自治体によって異なり、ブロック塀や樹木、がれきの撤去などが補助金の対象となる場合もあります。ただし、これらの撤去については別途制度を設けている自治体もあり、そもそも補助金制度がないケースもあるため、各自治体のホームページで確認しましょう。
固定資産税と都市計画税の減免措置が受けられなくなる
空き家を解体すると、固定資産税や都市計画税など、それまで受けられていた減免措置が受けられなくなります。この減免措置は「住宅用地の特例」と呼ばれ、固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3まで軽減されます。しかし、この減免措置は住宅が建っている土地のみを対象とするため、空き家を解体すると税額が上がる可能性があります。
空き家を解体しないことによるリスク
空き家を解体せずに放置した際の問題点は次の通りです。
・景観悪化のリスク
・不法投棄のリスク
・不法占有のリスク
・犯罪に遭うリスク
・害虫や害獣発生のリスク
・税金が高くなるリスク
空き家をそのままにしてしまうと、建物の老朽化や手入れのされない草木によって、街の景観が悪化する恐れが出てきます。また、空き家の放置は、犯罪やごみの不法投棄を誘発する大きな要因にもなります。特に、不法投棄のごみによって不衛生な状態が常態化すれば、近隣にも多大な迷惑をかけてしまうでしょう。
ほかにも、放置された空き家に第三者が不法侵入したり住みついたりする恐れもあり、そうなると、窃盗や放火の危険性が出てきます。犯罪組織の温床になれば、地域の治安を脅かす一因にもなりかねません。さらに、害虫や害獣が発生すると近隣住民の生活に悪影響を及ぼし、実害が出れば損害賠償を請求される可能性もあります。
税金面でも苦労する可能性について触れておきましょう。空き家であっても、建物が建っている土地は「住宅用地の特例」により、更地より固定資産税が軽減されます。しかし、2015年に国が空き家対策として制定した「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、管理が不十分な空き家は「特定空家」に認定され、勧告を受けても改善しない場合は、更地と同様の税率で課税されることになりました。さらに、2023年の法改正では、「特定空家」になる恐れがある「管理不全空家」という定義も加わり、対象範囲が広がりました。
このように空き家の放置には多くのリスクが存在するため、空き家は早めに解体することをおすすめします。
よくある質問
ここでは、空き家解体の補助金制度のよくある質問に答えていきます。
空き家の解体費用はいくらかかる?
仮に、30坪の木造二階建てを解体したとしましょう。建物本体の解体にかかる費用の相場は90万円~150万円程度といわれています。しかし、この金額はあくまで目安であり、後述する主な要因によって大きく変動するものと認識しておきましょう。空き家の解体費用を変動させる主な要因は以下の通りです。
・構造
・面積
・築年数
・敷地の形状
・アスベストの有無
・廃棄物の量
・依頼する解体業者
加えて、建物本体以外の解体作業(ブロック塀や浄化槽の除去作業など)が発生する場合は、追加で付帯工事費が発生するため、やはり実際にかかる総額は個々の空き家の状況によると考えたほうがよさそうです。
また、面積は同じでも構造が異なる「平屋」と「二階建て」では、平屋のほうが解体費用が高くなる傾向があります。これは、平屋のほうが基礎部分や屋根の面積が広く、解体にかかる手間が大きくなるためです。
空き家の解体費用については以下の記事に詳しい解説がありますので、併せてご覧ください。
空き家解体後の土地活用にはどのようなものがある?
空き家解体後の土地活用としては、賃貸住宅経営やトランクルーム経営、駐車場経営などさまざまな方法があります。なかでも、自己資金が少ない、初期費用を抑えたいといった場合は、駐車場経営がおすすめです。その理由としては、駐車場経営は初期費用0円で始められる場合があることや、管理の手間が少ないことが挙げられます。
空き家解体後の土地活用なら駐車場経営!
空き家管理には多くの手間がかかるため、できるだけ早期に空き家を解体するのがおすすめです。そして具体的に動き出す際は、自治体による補助金が適用できないかを調べ、ぜひとも活用を検討しましょう。対象になる補助金の制度は、各自治体のホームページで調べることができます。
ただし、空き家を解体して更地になると、固定資産税や都市計画税の軽減措置が利用できなくなるという側面もあるため、空き家解体後の土地で収益を上げる「駐車場経営」について知っておくと、安心材料につながるでしょう。
空き家解体後の土地を活用して収益を上げる駐車場経営には、いくつかの方法がありますが、なかでも「一括借り上げ方式」をおすすめします。その理由は以下の通りです。
・初期費用が安く、初心者でも始めやすい
・別業態や住宅建設などへの転用性が高いため、一時的な土地活用にも向いている
・駐車場運営会社に土地を貸し出した後は管理や運営全般を任せられる
・毎月安定した収入が得られる
三井のリパークでは、この「一括借り上げ方式での駐車場経営」を承っております。特に、駐車場経営に必要な機器費用・設置費用・運営管理費用は0円と、コストを大幅に抑えられる点は、一括借り上げ方式の大きなメリットです。
また、三井のリパークは三井不動産グループの一員であるため、駐車場経営を終えられた土地を売却したり、別業態に転用したりする場合のサポートも可能です。空き家解体後の土地で、まずは駐車場経営を検討したいとお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。(※2)
※1:出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果」
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf
(最終確認:2025年12月23日)
※2:立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。