2023.06.22

駐車場経営にかかる固定資産税は高い?計算方法や節税について解説

駐車場経営に関する固定資産税について、計算方法やシミュレーション、節税方法などさまざまな内容をご紹介してきます。
監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石 泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
https://www.izumi-ohishi.co.jp/profile.html

駐車場経営にかかる固定資産税とは?

駐車場経営は、初期投資が少なく手軽に行えるため、人気のある土地活用方法の1つです。一方で駐車場経営には、固定資産税が高くかかってしまうというデメリットもあります。固定資産税とは、土地や建物にかかる地方税の1つです。
駐車場経営の場合、住宅用地(人が住む家を建てるための土地)に比べて固定資産税が高くなる傾向があります。そのため、固定資産税が高いという理由から駐車場経営を行おうか迷っている方もいることでしょう。
そこで今回は、駐車場経営を行っている方や検討している方に向けて、固定資産税の計算方法や駐車場経営における節税方法、土地活用として駐車場経営を行うことのメリットなどを解説します。
●「駐車場投資」に関するよくある質問はこちら

住宅用地との違い

住宅用地と比べて、駐車場経営を行う土地にかかる固定資産税はなぜ高くなるのでしょうか?それは、住宅用地にかかる固定資産税と都市計画税は特例により軽減措置を受けられるためです。
200㎡以下の住宅用地である小規模住宅用地は6分の1、それ以外の一般住宅用地は3分の1、固定資産の評価額が減額されます。一般的に固定資産税評価額と呼ばれる、住宅や土地などの固定資産の評価額は、固定資産税を算出する際に用いられる課税標準です。※1
しかし駐車場は、地目が宅地ではなく雑種地に区分されるため、軽減措置の特例を受けることができません。よって駐車場経営を行う土地は、住宅用地に比べて固定資産税が高くなる傾向があるのです。
チェックリストと電卓とTAXと書かれた積み木

固定資産税の計算方法

固定資産税の計算方法について見ていきましょう。土地活用を行ううえで、計算方法について知っておくと、さまざまな活用方法のなかから自分に合った方法を選ぶのに役立ちます。特に節税目的で土地活用を行いたいと考えている方は覚えておくとよいでしょう。固定資産税の計算方法は以下の通りです。
固定資産税 = 固定資産の価格(課税標準額) × 1.4%
ここでの税率1.4%は標準税率です。市町村は1.4%と異なる税率を条例で定めることができるため、確認が必要です。
それでは駐車場経営を行う場合と住宅用地の場合の固定資産税をそれぞれ比較してみましょう。
固定資産の価格が5,000万円、土地面積200㎡以下の場合、駐車場と小規模住宅用地にかかる固定資産税は、それぞれ以下の通りです。
[駐車場にかかる固定資産税] 5,000万 × 1.4% = 70万
[小規模住宅用地にかかる固定資産税] (5,000万 × 6分の1) × 1.4% = 11万6,666(参考)
この比較から駐車場経営は、マンションやアパートなどの賃貸住宅経営に比べて高い固定資産税がかかることが分かります。しかし賃貸住宅経営の場合、住宅用地にかかる固定資産税だけでなく、建物にも固定資産税がかかります。そのため、ここでお伝えした固定資産税は土地のみにかかる固定資産税の比較であることにご注意ください。
駐車場

固定資産税のシミュレーション

駐車場経営を行ううえで、駐車場には「青空駐車場」「コインパーキング」「アスファルト舗装駐車場」といったいくつかの種類があります。いくつか例に挙げて、それぞれ固定資産税を計算してみましょう。

青空駐車場

青空駐車場とは、更地にロープを張ったり、石の車止めを置いたりしただけの駐車場です。敷地面積が100㎡、課税標準額が1㎡あたり8万円とした場合の固定資産税は以下の通りです。
(100㎡ × 8万円) × 0.014(1.4%) = 11万2,000円
住宅用地の特例が適用されないため、軽減されずそのまま計算されていることが分かります。固定資産税が高い一方で、青空駐車場はほとんど設備を必要としないため、設備費用がかからないというメリットがあります。

青空駐車場(住宅と一体)

敷地面積が100㎡、課税標準額が1㎡あたり8万円とし、住宅と一体利用されている場合の青空駐車場の固定資産税は以下の通りです。
(100㎡ × 8万円 × 6分の1) × 0.014(1.4%) = 1万8,666円
住宅と一体型である青空駐車場は、住宅用地と見なされると軽減措置が適用され、上記の青空駐車場よりも固定資産税が安く抑えられていることが分かります。
コインパーキング

コインパーキング

コインパーキングとは、空いている駐車スペースであれば自由に駐車することができ、利用時間分の料金を払うシステムの駐車場です。精算機やロック板などの初期費用がかかることに注意しましょう。敷地面積が100㎡、課税標準額が1㎡あたり8万円とした場合のコインパーキングにかかる固定資産税は以下の通りです。
(100㎡ × 8万円) × 0.014(1.4%) = 11万2,000円
青空駐車場単体で使用している場合と同様に、住宅用地の特例が適用されないため、そのままの固定資産税となることが分かります。
●「駐車場投資」に関する記事はこちら

アスファルト舗装駐車場

アスファルト舗装駐車場とは、ある程度広さのある駐車場に採用されているアスファルト舗装を施した駐車場です。ここではアスファルト舗装や、フェンスの工事といった必要な工事にかかる費用が150万円を超えない場合を想定しています。敷地面積が250㎡、課税標準額が1㎡あたり8万円とした場合、固定資産税は以下の通りです。
(250㎡ × 8万円) × 0.014(1.4%) = 28万円
アスファルト舗装駐車場はほかの駐車場に比べて敷地面積が大きい傾向にあるため、かかる固定資産税もその分高くなることが分かります。加えて、駐車場経営で収入が1,000万円を超える場合は課税事業者とされ、消費税を支払わなければならないため注意が必要です。※2
節税イメージ
以上、駐車場の種類別に4つの例をご紹介してきました。これから分かることは、駐車場経営における固定資産税は「青色駐車場」と「コインパーキング」などの駐車場の種類で決まるわけではなく、「住宅と一体かどうか」「敷地面積はどれくらいか」といった要素で決まるということです。これから駐車場経営を始めようとしている方は、ぜひこの事を覚えておいてくださいね。

駐車場経営で節税するには?

ここまで駐車場経営では、固定資産税の軽減措置が適用されないとお伝えしてきました。軽減措置が適用されないことを踏まえたうえで、駐車場経営で節税するにはどうすればよいのでしょうか?ここからは、駐車場経営での税金対策について解説します。

アパートと土地をつなげる

駐車場を住宅用地と一体化させることで住宅用地の特例を受けられる可能性があります。住宅用地には、マンションやアパートの敷地だけでなく、その敷地と一体利用となる庭や駐車場なども含まれます。そのため、住宅用地と駐車場を一体化させ、アパートの住人用の駐車場とすることで、駐車場は住宅用地と見なされ、固定資産税の軽減措置が適用されるのです。
住宅用地と一体利用される駐車場は前述した通り、住宅用地の特例が適用され、200㎡以内の小規模住宅用地の場合は、固定資産税の6分の1が軽減されます。固定資産税を抑えたいと考えている方は住宅用地に駐車場を隣接させることを検討してみるとよいでしょう。
コインパーキング

駐車場設備の総額を150万円未満にする

駐車場経営で節税したい場合はフェンスやアスファルト舗装といった駐車場の設備費用に注意しましょう。設備費用の総額が150万円以上の場合、固定資産税(償却資産)を支払わなければなりません。※3つまり150万円未満に設備費用を抑えられた場合、固定資産税(償却資産)が節税できます。固定資産税がかかる主な駐車設備は以下の通りです。
・フェンス
・アスファルト舗装
・コンクリート舗装
・外灯
・屋根
・車止め
・精算機
・センサー式停車機
・防犯カメラなど
特にコインパーキングは、利用者と1ヵ月単位で賃貸契約を結ぶ月極駐車場に比べて、精算機やロック板などに設備費用がかかるため、注意が必要です。設備費用が150万円を超えそうな場合は、同じ駐車場内にコインパーキングと月極駐車場を造り、駐車場の種類を分けるといった工夫をしてみましょう。
車の模型とチェックリストとペン

駐車場を経営するメリット

固定資産税は住宅用地より高くなりますが、駐車場経営は人気の高い土地活用方法です。なぜ人気が高いのか、ここからは駐車場経営のメリットについてご紹介します。

初期費用が安い

駐車場経営は初期費用が安いというメリットがあります。更地にロープを張ったり、石の車止めを置いたりしただけの青空駐車場は、特別な機械や設備が必要ないため、設備費用分の初期費用を安く済ませることができます。
駐車場経営には、駐車場の管理を任せる範囲によって経営方式がそれぞれ3種類あります。個人で全て管理を行う「自主管理方式」と、管理委託料を支払い駐車場運営会社に管理を代行してもらう「管理委託方式」、そして管理業者が土地を借り上げ、賃料が代わりに支払われる「一括借り上げ方式(サブリース)」です。
一括借り上げ方式は、管理業者が初期費用を負担する場合が多いため、駐車場経営のなかでも特に初期費用が安い方式です。駐車場の管理は管理業者が一任するため、手間がかかりにくいというメリットもあります。
コインパーキングや機械式駐車場は、整地費用や機械の設置費用がかかるため、高くなる場合がありますが、一括借り上げ方式では機械の設置費用を負担してくれる会社もあります。そのため、なるべく初期費用を減らして土地活用をしたいと考えている方は一括借り上げ方式がおすすめです。
三井のリパークでは一括借り上げ方式による駐車場経営のサポートを行っています。毎月賃料として安定した収入を得られるのに加え、初期費用や運営費用も不要です。駐車場経営で悩まれている方は一度ご相談してみてはいかがでしょうか?※4
●ご相談・お問い合わせはこちらから
家と住宅街の模型

条件の悪い土地でも活用できる

駐車場経営は、面積が狭かったり、形が悪かったりするような条件が悪い土地でも活用することができます。土地の条件が悪いとアパートやマンションを建てることができないため、賃貸住宅経営はしにくくなってしまいます。
しかし駐車場は、車を停められるスペースがあれば経営できます。そのため、条件の悪い土地を相続したけれど、どう活用したらよいのか分からないという方にもおすすめの土地活用方法です。
●土地活用に関する記事はこちら

転用性がある

駐車場経営は転用性があることもメリットといえるでしょう。賃貸住宅経営に比べて更地にしたり、ほかの方法での土地活用に切り替えたりしやすいという特長があります。賃貸住宅経営の場合は、マンションやアパートなどの建物があるため、更地にしたり建て直したりするのに手間と費用がかかってしまいます。一方で駐車場経営は、設備を撤去するだけで済むため、費用も賃貸住宅経営ほどかからず、新たな土地活用方法をすぐに始められます。
物件探しをする営業担当者と女性

まずは駐車場会社に相談しよう!

本記事では、駐車場にかかる固定資産税や駐車場経営のメリットについて解説してきました。駐車場経営を行う土地にかかる固定資産税は、軽減措置が適用されないことから住宅用地に比べて高くなってしまいます。一方で、初期費用が安いことや、条件の悪い土地でも活用できるといったメリットもあります。
活用していない土地があって駐車場経営を検討している方や、駐車場経営中で悩みがある方は、ぜひ三井のリパークに相談してください。三井のリパークは日本全国で展開しており、25万台(2022年3月末時点)を超える運営管理実績があります。これまでの経験や実績をもとに、それぞれの土地に合わせてサポートいたします。※4
さらに駐車場運営に関する看板類の作成、駐車場機器の設置や撤去、集金、清掃なども行っており、賃貸住宅経営や土地売却など、ほかの土地活用方法を検討中の方にも有効な土地活用方法として駐車場経営をご提案させていただいております。所有する土地に合った、よりよい土地活用方法を見つけるために一度ご相談してみてはいかがでしょうか?※4
●三井のリパークへのお問い合わせはこちら

「駐車場経営の固定資産税」に関するよくある質問

本記事では、駐車場にかかる固定資産税について、計算方法や節税方法なども踏まえて解説してきました。最後におさらいとして押さえておきたい3つのポイントを確認していきましょう。

駐車場経営の固定資産税は高い?

駐車場経営を行う土地にかかる固定資産税は、住宅用地の土地にかかる固定資産税よりも高くなります。その理由は、住宅用地にかかる固定資産税は特例により軽減措置を受けられますが、駐車場の土地では特例が受けられないためです。しかし、条件を満たせば1/6あるいは1/3に減額されることもあります。
●詳しくはこちら

駐車場経営での節税方法は?

アパートと土地をつなげて一体利用での駐車場経営を行うことで、住宅用地の特例が適用され、固定資産税が安くなります。さらに設備費用を150万円未満に抑えることでも節税できます。
●詳しくはこちら

駐車場経営を行うメリットとは?

駐車場経営はほかの土地活用方法に比べて初期費用を安く抑えられるというメリットがあります。また面積が狭かったり、形が悪かったりする条件の悪い土地でも活用できることや、撤退したくなったときにほかの土地活用方法に転用しやすいという特長もあります。
●詳しくはこちら
※1出典:国土交通省「土地の保有に係る税制」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000073.html
(最終確認日:2023年3月14日)
※2出典:国税庁「売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2021/b/01/1_11.htm
(最終確認日:2023年3月14日)
※3出典:東京都主税局「固定資産税(償却資産)」
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/shokyak_sis.html
(最終確認日:2023年3月14日)
※4立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
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