土地活用を行う前の注意点
所有する土地を生かして収入を得られる土地活用は魅力的です。しかし、事前に所有する土地や事業性についてよく調べずに始めると、思わぬトラブルや失敗につながってしまうこともあります。土地活用を行う前には、次の3つのポイントに注意しましょう。
・土地利用の規制を確認する
・その地域のニーズを知っておく
・しっかりとした事業計画を立てる
土地利用の規制を確認する
土地の利用方法には、法律や条例などによる規制があります。たとえば、都市化を進める市街化区域や、都市化を抑制する市街化調整区域といった区域が都市計画法で定められています。特に市街化調整区域では、一部の例外を除き、建物を建てることができません。また、建築基準法にもとづく建物の利用方法や規模などを制限する用途地域の指定、道路との関係などによっても土地の利用方法が制限されます。
それ以外にも景観法や農地法、埋蔵文化財保護法など、さまざまな法律に加え、行政が定める条例などによっても土地の利用が制限されています。そのため、所有している土地にどのような制限(規制)がなされているのか確認することが大切です。
土地利用の規制については、土地のある市区町村で確認できます。一部の規制内容は各役所のホームページでも確認できますが、具体的な内容を正確に把握するには、各担当窓口で確認しましょう。
その地域のニーズを知っておく
土地活用を成功させるには、活用方法に応じて、所有する土地周辺にどのようなニーズがあるのかを把握することも大切です。その地域のニーズは、地域の人口構成や周辺環境などによって異なります。たとえば、商業施設が近接し、人や車の交通量も多い地域なら、賃貸住宅経営やコインパーキング経営が適している可能性が高いといえます。
土地利用の規制について調べ、その地域で実施可能な土地活用を把握したうえで、求められるニーズを確認して土地活用を検討することが重要です。
しっかりとした事業計画を立てる
土地活用は、収入を得ることを目的としているため、事業でもあります。そのため、土地活用を始める前に、資金の調達や資金の配分などの資金計画、収入と支出をあらかじめ見積もった収支計画といった全体的な事業計画を立てることが大切です。
また、どのような土地活用方法であっても、必ずリスクが伴います。具体的には、賃貸住宅経営で入居者が集まらなかったり、駐車場経営で事故やトラブルが発生したりといったことが挙げられるでしょう。そのため、土地活用を始める前にどのようなリスクがあるのかを把握し、そうしたリスクも踏まえた事業計画を立てることも重要です。
土地活用のアイデア10選
所有している土地の広さや形状、周辺環境によって、適した土地活用は異なります。ここからは、土地活用の具体的なアイデアについてご紹介します。所有する土地に合った活用方法を見つけましょう。
1.賃貸住宅経営
賃貸住宅経営は、土地活用のなかでも人気の高い土地活用方法です。所有する土地にアパートやマンションなどの住宅を建て賃料収入を得ます。人気の理由は、ほかの土地活用と比べて、アパートローンが利用できるなど資金調達がしやすく、各種税金の特例が適用されることが挙げられるでしょう。固定資産税や都市計画税、相続税などの節税対策にもなり、収益性も比較的高い土地活用方法です。
賃貸住宅経営は、ある程度まとまった初期費用が必要ですが、都心部・郊外を問わず、賃貸住宅の入居者が期待できる立地であれば可能です。また、賃貸住宅の管理は、自ら管理する自主管理方式、ある程度管理を任せる委託管理方式、管理を任せられる一括借り上げ方式(サブリース方式)を選ぶことができ、任せる範囲が広いほど費用がかかります。
所有地がない場合は、土地と建物を同時に購入して賃貸住宅経営を始めるケースもあります。土地と建物を同時に購入する場合は、土地活用というより不動産投資といったほうがわかりやすいかもしれません。
賃貸住宅経営で代表的なアパート経営とマンション経営は、建物の構造の違いはありますが、経営手法はほとんど同じです。融資を利用しやすいことや、税制上で一定の優遇措置が受けられる点においても、両者に大きな差はありません。土地活用の方法としては、どちらが優れているといい切れないため、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
| 比較項目 |
アパート経営 |
マンション経営 |
| 構造 |
・木造
・軽量鉄骨造
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・鉄筋コンクリート(RC)造
・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造
・重量鉄骨(S)造
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| メリット |
・建物の建築コストがマンションと比べて安く、初期費用が抑えられるため、投資効率がよい
・建物本体の維持費(修繕費等)はマンションよりも安い傾向がある
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・構造が堅固で、耐久性、断熱性などの性能が高く、立地や面積、築年が同じなら、アパートよりも賃料水準が高いことが多い
・建物の耐用年数が長く、アパートよりも長期の運用が可能
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| 注意点 |
・一般的に、マンションよりも見た目の重厚感や建物の耐震性、耐熱性、遮音性などの性能が劣り、立地や面積、築年が同じなら、マンションよりも賃料が低い
・マンションよりも耐用年数が短く、建て替えが必要になるのが早い
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・建物の構造上、建築コストが高いため、初期費用も高くなる
・建物本体の維持費(修繕費等)もアパートより高額になる
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2.駐車場経営
駐車場経営とは、所有する土地を「月極駐車場」または「コインパーキング(時間貸し駐車場)」として貸し出す土地活用方法のことです。車を1台~2台程度停められるスペースがあれば、広い土地でなくとも経営を始められます。建物を建てる必要がないので賃貸住宅経営と比べて初期費用が抑えられるうえ、短期間で始められ、転用もしやすいなど、メリットが多く人気の土地活用方法です。
注意点は、アパートやマンション経営のように住宅を建てることがないため、土地の用途が住宅用地とはならず、土地評価上の軽減措置を受けられないということです。ただし、土地活用で収入を得ることができ、税金は基本的に収入よりも多くなることはないため、土地を遊ばせておくよりメリットがあるでしょう。
月極駐車場の経営とコインパーキングの経営には、それぞれ次のような違いがあります。
月極駐車場経営
月極駐車場とは、駐車場利用者と1ヵ月を基本として賃貸借契約(駐車場利用契約)を結ぶ駐車場のことです。月極駐車場経営では、駐車場利用者(契約者)がいれば毎月安定した収入を得られます。
また、月極駐車場は建物や高額な設備を用意することがないため、初期費用を抑えやすく、始めやすい土地活用といえます。簡単なものでは、整地した土地に砂利を敷いて駐車スペースを区分けするだけでも経営でき、ほかの用途への変更も容易です。そのため、将来ほかの形で土地活用したいと考えている方でも一時的な土地活用方法として気軽に始められるでしょう。
コインパーキング経営
コインパーキングとは、利用時間に応じた料金を徴収する駐車場のことです。交通量の多い場所、また商業施設や病院の近くなどに向いているとされます。
コインパーキング経営は、稼働率が収入に直結するので、月極駐車場と違って収入が変動しやすいのが特徴です。そのため、稼働率が高い場合は、高い収益が期待できます。なお、舗装やフェンスの設置といった土地整備費のほか、料金精算機やロック板といった設備費も必要になるため、平置きの月極駐車場よりは初期費用が多くかかります。
準備に費用や運営の手間がかかるといった事情から、コインパーキング経営は、土地所有者が専門の事業者に任せる「一括借り上げ方式」が一般的です。一括借り上げ方式とは、駐車場運営会社に土地を貸し出して賃料(借地料)を受け取る方法です。継続的な収入が見込めるうえ、運営のための設備費や運営管理費も負担してもらえるというメリットがあります。
三井のリパークでも、一括借り上げ方式によるコインパーキング経営のご相談を受付中です。駐車場経営を考えていて初期費用を抑えたい方や、経営の知識がなく不安な方は、ぜひご検討ください。
3.トランクルーム経営
収納スペース(トランクルーム)として空間を貸し出して、収益を得る賃貸経営のことです。空き地に設置したコンテナや所有するビル、マンションなどの1室をトランクルームとして貸し出すことで収益を得ます。
以前は空き地にコンテナを置くだけで経営することも可能でしたが、現在はコンテナであっても基礎工事が必要なため、開設までの準備期間が増え、初期費用もやや高くなっています。
トランクルーム経営は、駅から離れたエリアや郊外の土地でも、車などでアクセスできる立地で周辺に住宅地がある場合には、需要があり収益になる可能性があります。
ただし、トランクルームは収入となる賃料が安価なことが多く、収益性が低い傾向がある点も注意が必要です。周辺調査や収益性について自分で調査することが難しい方は、トランクルームの専門の事業者に相談してみるのもよいでしょう。
トランクルーム経営は、収益性はやや低くても初期費用や管理の負担を抑えて土地活用したい方や、賃貸住宅や駐車場経営が難しい土地を所有されている方には、検討の価値がある活用方法です。また、コンテナの場合は、設置が比較的簡単な分、経営をやめるときにも土地の転用が容易といえます。
4.コインランドリー経営
コインランドリー経営も人気のある土地活用の1つです。コインランドリー経営を始める場合は、店舗が必要であり、更地の場合は新たに建物を建てるのに加えて、洗濯機や乾燥機などの必要な設備機器も併せて準備する必要があります。初期費用は、アパート経営やマンション経営に比べれば低く抑えられる傾向がありますが、駐車場やトランクルームと比べるとある程度まとまった資金が必要です。
コインランドリー経営のメリットとしては、人件費がある程度抑えられるため利益率が高いという点が挙げられます。ただし、比較的簡単に参入できるビジネスでもあるため、コインランドリーの需要が期待できる地域であれば、競合店が近隣にできる可能性があります。また、通常時は清掃など最小限の人員での運営が可能であるものの、トラブル発生時の対応や設備機器の故障の際はやや手間のかかる部分もあります。
住宅が密集する比較的居住者の多い立地や、車での来店が容易なロードサイドの立地などであれば、検討してみる価値のある土地活用といえるでしょう。
5.資材置き場などの借地
賃貸住宅や駐車場の経営に向かない市街化調整区域などの土地では、資材や重機の保管場所として空き地を業者に貸し出すという活用方法もあります。
土地を更地の状態で貸すため、もともと所有する土地が更地であった場合、初期費用も管理の手間もほぼかからないのがメリットです。しかし、資材置き場はニーズが限られていることから、貸し手が見つかりにくいうえ、収益性も低い点には注意が必要です。
なお、もともと農地であった土地を資材置き場にするには、農業委員会への届け出や許可が必要になるため、その点にも注意しましょう。
6.貸し農園経営
貸し農園とは、農業を始めたい人や趣味で農業をしたい人に農地として土地を貸し出し、地代(賃料)を得る土地活用のことです。一般的に建物を建てられない郊外の農地をそのまま貸すことで収益を得る方法で、土地の地目(不動産登記法で定められた土地の種類)が「田」や「畑」となっており、農地以外の活用方法がなく困っている土地の活用方法に向いているといえるでしょう。
ただし、貸し農園経営を始める際には、営業形態に応じて市町村や農業委員会から許可を得る必要があります。なお、貸し農園の利用料は安く、収益性は高いとはいえません。そのため、一定の利用者が期待できる郊外に近い農地で、活用方法が限られてしまう遊休農地を所有している場合に有効な方法となるでしょう。
7.自動販売機経営
自動販売機を活用する土地活用では、空いている土地に自動販売機を設置することで、売り上げの一部を収入として得ることができます。商品管理やごみの搬出など、運営・管理業務は自動販売機を設置するベンダーに任せられるため、手間なく始められるのがメリットです。
ただし、電源の確保や整地が必要なほか、月々の電気代はオーナーが負担しなければなりません。立地によっては収益はさほど大きくなく、収入が電気代を下回ることもあるため、収益性の低さが注意点といえます。そのため、人通りが多く、一定の売り上げが期待できる立地であっても、建物が建てられない狭い土地やアパートやマンションなど敷地の余剰地で付属的な土地活用などに向いているでしょう。
また、郊外など収益見込みの低い立地ではベンダーとの契約ができず、自動販売機を設置できない土地も多いため、どこでも可能な土地活用ではありません。
8.カーシェア
カーシェア(カーシェアリング)とは、事業者が会員に自動車を共同で使ってもらい、その利用料を収益とするサービスです。
カーシェアの導入は、需要が期待できる商業立地や住宅地で、車1台分のスペースがあれば可能です。そのため、狭い空き地や建物1階の駐車スペースの一部でも導入が可能です。実質的にはカーシェア事業者と借地契約し、地代を得ることとなるため、費用や手間がほぼかからず、転用もしやすいのが特徴です。
ただし、需要の少ない立地では借り手となる事業者が見つからないこともあります。なお、個人でこの事業を始めるのは、許認可や管理の面から現実的ではありません。
9.貸し店舗経営
貸し店舗経営とは、飲食店やサービス業者などに土地や建物を貸し出して賃料収入を得るための土地活用方法です。繁華街やオフィス街、駅前、幹線道路沿いなど、人通りの多い立地のうち建物の1階のみに需要が集中します。
貸し店舗経営のメリットは、賃料単価が高く、長期契約となって安定した収入が見込める可能性が高いことです。一方で、景気の影響を受けやすく、退去されてしまうと賃料収入がゼロになってしまうリスクがあることはデメリットといえるでしょう。
初期費用がかかるため、基本的には、既存の建物がある場合の活用方法の1つと考えたほうがいいでしょう。なお、貸し店舗の経営に適した土地は、駅近や商業エリア内に限られます。適した立地が限定的であるうえ、このような立地の土地を活用しようとする場合は、ほかにも多くの選択肢があることを理解しておきましょう。
10.モビリティサービスの設置
シェアサイクルや電動キックスクーターといったモビリティのポートの設置も、有効な土地活用方法の1つです。狭小地でも設置が容易であり、特に都市部では設置可能な場所の幅が広いことも特徴といえます。アパートやマンションの空いた土地でも設置が可能で、利用者も多く、安定した収入が見込める可能性があります。
ただし、モビリティサービスの設置は土地の立地が重要であるうえ、設置可能なエリアは限定的です。特に、営業エリアは限られており、首都圏でも一部しか対応していません。営業エリア内でなく、利用者が一定以上見込めない場合は設置できないと考えてよいでしょう。
なお、一般的にサービス運営会社との契約によって、地代に相当する設置協力費が収入となるため、貸し出す土地の面積も小さいこともあり、土地所有者の収入は多くありません。そのため、立地は限定的ですが、活用中の土地にデッドスペースがある方や入居者等へのオプションサービス的に設置したい方、少額でも副収入がほしい方におすすめの活用方法です。
「土地活用のアイデア」に関するよくある質問
この記事では、土地活用のアイデアについてご紹介してきました。ここでは、土地活用のよくある質問を4つご紹介しておきます。
土地活用の方法はどのように選べばよい?
土地にかかる規制や土地周辺のニーズなどを考慮して選ぶ必要があります。失敗しないためにも、それぞれの土地活用方法のメリットやデメリットを事前に把握しておきましょう。
また、土地活用は事業でもあるため、活用方法によってリスクの内容や大きさが異なります。事前にリスクも見積もったうえで、事業計画を立て、必要な資金や発生する可能性のあるリスクが自分の許容できる範囲内のものかもしっかりと検討しましょう。
狭い土地に適した土地活用は?
比較的狭い土地を活用するなら、立地にもよりますが、建物を建てると貸出面積が小さくなるため、収益性が低くなり、建物の建築費の回収もリスクになります。そのため、車の出入りが可能な立地なら、初期費用や手間がかからない駐車場の経営がおすすめです。駐車場経営の場合、建物の解体もなく、契約の解除も比較的容易なので、一時的な土地活用に適していることもおすすめできる理由の1つです。
土地活用を検討するポイントは?
土地活用を検討するうえで、最初に検討すべきポイントは、建物を建てる活用方法か、建てない活用方法か、大きく分けて2つのいずれにするかを検討することです。
アパートやマンション経営、コインランドリー経営など、建物を建ててその使用料として賃料を得る活用方法は、収益性が高くなりますが、建物を建てる初期費用がかさみ、リスクが大きくなる可能性が高くなります。また、撤退も難しくなります。
一方、駐車場や資材置き場、貸し農園など、建物は建てずに土地を貸して地代あるいはその使用料収入を得る活用方法は、収益性は劣るものの、初期費用が抑えられ、参入も撤退も比較的容易である点が特徴です。どういった土地活用が向いているかは、土地の条件と自分が取れるリスクの大きさに合わせて検討しましょう。
土地活用の相談は誰にすればよい?
土地活用の相談は、その土地活用に精通した専門の事業者にすることが重要です。土地活用と一口にいっても、アパート経営やトランクルーム経営、コインランドリー経営、駐車場経営などさまざまであり、土地活用の方法によって相談先は異なります。
ただ、全てではないものの、さまざまな土地活用に精通した事業者もあります。そういった事業者に相談することで、いくつかの土地活用を同時に比較することが容易になり、土地所有者の相談の手間や時間を節約することも可能になります。
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※1:立地等によってはお受けできない場合もございます。建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。