2024.06.20

空き家の売却方法とは?税金や注意点についても詳しく解説

空き家は放置しておくとさまざまなリスクがあるため、売却または活用を考えたほうがよいでしょう。この記事では、売却方法や費用、税金のほか、土地活用の選択肢をご提案します。
監修者:ファイナンシャル・プランナー 大石 泉
株式会社NIE.Eカレッジ代表取締役。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士などの資格を保有。住宅情報メディアの企画・編集などを経て独立し、現在ではライフプランやキャリアデザイン、資産形成等の研修や講座、個別コンサルティングを行っている。
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空き家は売却すべき?

相続や贈与によって譲り受けた実家が空き家だった場合、どうしたらよいか悩んでしまうこともあるでしょう。結論からいうと、使用予定のない空き家は放置せず、売却または活用の選択肢を取るべきです。空き家を放置することによって生じるリスクには、主に以下が想定されます。
・害獣・害虫の発生・放置による近隣トラブル
・建物の劣化の進行
・犯罪に巻き込まれる可能性
家に人が住まなくなって放置されると、水道を使わない、換気をしないなどの状態になるでしょう。地域によっては冬季に水道管が破裂して、漏水してしまう恐れがあるほか、換気を行わないことで湿度が高いまま保たれます。結果として、人が住んでいるときよりも建物の劣化が進行することになります。
また、空き家であることが認知されてしまうと、空き巣に入られやすくなります。詐取金や不正薬物の送付先に悪用される可能性もあり、知らないうちに犯罪に巻き込まれ、加担している状態にもなりかねません。
これらの理由から、空き家を長期間にわたって放置することは得策ではないといえるでしょう。けれども、売却するだけが選択肢ではありません。場合によっては売却ではなく、土地活用という方法を選んだほうがよいこともあります。
今回の記事では、空き家を売却する方法や、その際にかかる費用、税金、売却時の注意点などを解説するとともに、売却が向いている人、向いていない人についても解説していきます。
空き家のまま売却されていない実家

空き家の売却方法

空き家の売却方法は、主に以下の2通りがあります。順番に解説していきましょう。
・仲介
・買取

仲介

仲介による売却とは、不動産会社が売り手と買い手を仲介することで売却する方法です。一般的に、売り手と買い手の要望が合致したときに売却を行うため、取引市場の相場に近い価格での売却が期待できます。
仲介で売却する際は、空き家の築年数によって選択すべき売却方法が異なります。一般的な木造一戸建ての場合、法定耐用年数は22年です。※1 法定耐用年数は、税務上で不動産の価値を減価償却するために用いられる指標であり、本来の不動産の寿命を示すものではありません。しかしながら、建物の寿命の目安でもあるため、不動産市場において建物の価値判断の基準に使われています。
法定耐用年数に基づくと、築年数が20年以上たっている空き家の場合、建物としての価値は0に近くなります。この場合は、「古家付き土地」として売却を行うか、空き家を解体して更地として売却するかが一般的です。
古家付き土地として売却する場合、建物の解体費用やリフォーム・リノベーション費用を買主側が負担しなければならないので、その分を見込んで売り出し価格を低く設定する必要があるでしょう。更地として売却するほうが買い手は付きやすくなりますが、建物の解体費用は売主負担となります。
築年数が比較的浅い場合はそのままの状態で、中古住宅として売却活動を行うのが一般的です。なお、リフォーム・リノベーションは、住環境に大きな影響を及ぼしている箇所以外はおすすめしません。買い手の好みと合致するとは限らず、買い手が自分好みのリフォーム・リノベーションを行いたいと思っている可能性があるからです。
古家付き土地、更地、中古住宅のいずれの売却でも、普段住んでいない家の売却を考えることになるため、家の状態や地下の埋設物などについて、チェックしておくことが大切でしょう。

買取

買取の場合、空き家を売却する売り手は不動産会社や買取業者になります。不動産会社や買取業者は空き家を買い取り、解体やリフォーム・リノベーションを経て次の住人へと売却します。解体費用やリフォーム・リノベーション費用は、買い取った会社が負担するため、買取価格は仲介による売却価格よりも低くなる傾向にあります。
買取による売却では、自分で建物を解体したり、リフォーム・リノベーションを行ったりしないのが原則です。土地によっては、リフォーム・リノベーションはできても、建物の再建築ができないこともあるからです。安易に解体してしまうと、その土地には今後住居を建てられなくなり、土地としての価値が下がりかねません。
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空き家の売却にかかる費用

空き家を売却する際にかかる可能性のある費用は以下の3つです。
・仲介手数料
・解体費用
・リフォーム・リノベーション費用
仲介手数料は、仲介による売却を行い、売却が成功した場合に仲介業者に支払う成功報酬です。仲介手数料には、宅地建物取引業法46条を根拠として国土交通大臣が定めた上限があります。詳しくは以下の国土交通省の告示を参考にしましょう。
●仲介手数料について詳しくはこちら
解体費用は建物の大きさと材質によって異なります。目安として、木造一戸建ての住宅の場合、3~5万円/坪程度の解体費用がかかるでしょう。リフォーム・リノベーション費用は、建物の規模によって大きく変わってきます。先述の通り、売却前のリフォーム・リノベーションは控えるようにしましょう。
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空き家の売却にかかる税金

空き家の売却にかかる税金は、主に以下の3つです。順番に解説しましょう。
・譲渡所得にかかる税金
・登録免許税
・印紙税

譲渡所得にかかる税金

譲渡所得にかかる税金とは、物件を売却して利益が出た際にかかる税金です。一般に譲渡所得税と呼ばれ、所得税と住民税の合計です。この場合の利益とは、売却金額から物件の取得にかかった費用(取得費用)と、売却活動の過程で発生した費用(譲渡費用)、税制の特例措置による特別控除額を差し引いた金額で、以下の式で表されます。
収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
譲渡所得にかかる税金は、上記計算式で導き出された課税譲渡所得金額に、定められた税率を乗じることで算出できます。ただし、空き家を売った年の1月1日時点で、その空き家の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、それぞれの税率は異なります。※2

登録免許税

登録免許税とは、不動産を登記するにあたって課税される税金のことをいいます。被相続人から相続人に登記移転をしなければ、相続した空き家を売ることはできません。原則、市町村役場で管理されている固定資産課税台帳に記載された土地・建物の評価額の0.4%が課税されます。※3
また、相続登記を司法書士に依頼した場合は、別途相続登記費用が発生します。相続登記単体であれば、かかる費用は5~10万円ほどになります。

印紙税

印紙税とは、売買契約書を作成した際に、印紙税法に基づきその文書に課税される税金です。契約の金額によって、課税される金額は異なります。
以上のように、空き家の売却にはさまざまな税金がかかり、売却金額や所有期間によって税率・税額が異なります。それぞれの税金について、詳しくは国税庁のサイトを参照してみましょう。
●国税庁のサイトはこちら
空き家を売却するときにかかる税金

空き家の売却で活用できる税制特例

空き家の売却では、要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が適用され、先述の課税譲渡所得金額から最高で3,000万円を差し引くことができます。この特例を受けるために必要な要件の一例は以下の通りです。
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物登記がされている建物でないこと
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
このほかにも、さまざまな適用条件があるので、詳しくは以下のサイトを確認しましょう。
●被相続人の居住用家屋を売却したときの特例について詳しくはこちら

空き家の売却をすべき人の特徴

空き家を売却したほうがよい人の特徴は以下の2点です。
・相続の関係で空き家を売却し、現金化したい
・早急にまとまった資金が欲しい
遺産のなかでも大きな割合を占める不動産を、複数の相続人で分割相続する場合、売却して現金化したほうが相続が容易です。また、自身の住み替えやライフイベントに伴ってまとまった資金が必要な場合、空き家を売却することで資金計画が立てやすくなったり、まとまった資金の調達が可能になったりします。
空き家を売り出し中の様子

土地活用も検討すべき人の特徴

売却ではなく、土地活用も検討したほうがよい人の特徴は以下の通りです。
・中長期的に安定した収入を得たい
・現在は空き家だが、将来住む予定がある
・将来この土地に新居を建てたいと思っている
土地活用の魅力は、土地を手放さずに中長期的に安定した収入を得られることです。「今は空き家になっているけれど、いつか住む予定がある」という場合は、居住するまでの期間を賃貸住宅として貸し出す方法もあります。また、「将来この土地を利用して新居を建てる予定がある」という場合は、それまでの期間に駐車場経営を行うことも可能です。将来のステージに向けて、土地活用という選択肢に目を向けてみるのもよいかもしれません。
なかでも駐車場経営は、多くの場合、土地の形状や面積を問わない柔軟性があり、設備の設置・撤収が容易である転用性の高さから、将来のステージを見据えた土地活用が可能です。経営方式にもよりますが、設備の設置や管理・経営を管理会社が行ってくれる一括借り上げ方式の場合、初期費用をかけずに地代収入を得られます。
三井のリパークなら、設備費から維持費まで0円で事業が始められて、駐車場管理業務も代行いたします。※4 また三井不動産グループ各社のネットワークを強みに、将来的な売却や購入も含めた総合的なサポートを行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
●土地活用のメリットや注意点について詳しくはこちら
●空き家の有効な活用方法について詳しくはこちら
●駐車場経営について詳しくはこちら
空き家の土地活用の選択肢であるコインパーキング

土地活用も視野に入れた売却を検討しよう

これまで、空き家を売却する方法や、土地活用の選択肢について解説してきました。住んでいない空き家を売却することで、短期的にまとまった収入を得られることは、メリットでもあります。しかし、土地や建物といった活用可能な資産を手放すことは、デメリットともいえるでしょう。
中長期的な視点で土地や建物を所有したまま時間をかけて安定した収益を得たい人は、土地を処分せず、土地活用として駐車場経営を検討してみましょう。
三井のリパークでは、一括借り上げ方式の場合、駐車場経営にかかる初期費用や運営管理費用、設備の設置費用を負担しています。※4 費用負担が少ないため始めやすく、転用の際にも三井不動産グループの総合力を生かしたきめ細かい対応でサポートが可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
●駐車場経営や土地活用に関するご相談・お問い合わせはこちら
●コインパーキング経営の方法やコツについて詳しくはこちら
※1 出典:「主な減価償却資産の耐用年数表」、国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf (最終確認:2024年4月16日)
※2 出典:「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」、国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm (最終確認:2024年4月16日)
※3 出典:「登録免許税の税額表」、国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm (最終確認:2024年4月16日)
※4 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
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※立地等によってはお受けできない場合もございます。 ※建物解体、アスファルト舗装、外溝、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさま(土地所有者様)のご負担となります。
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