不正駐車、周辺混雑…無料大型駐車場が抱えていた問題の打開策とは?
栃木県最大級のショッピングモール「ベルモール」は、2004年10月の開業以来、収容台数4,200台超の大型駐車場を無料で運営してきました。しかし、無料ゆえに利用客以外の不正駐車が多く、周辺道路の渋滞も深刻化。2023年8月のLRT(次世代型路面電車システム)開業に伴い、状況はより悪化すると予想されることから、ベルモールは駐車場運営の改革に乗り出しました。
今回は、複数社のなかから三井のリパークに駐車場運営を委託するに至った背景や、新しい駐車場システム導入後の状況について、株式会社ベルモールの鈴木さまに詳しいお話を伺いました。
選んだ決め手は最新鋭の駐車場システム
―まず、無料駐車場を有料化する決断をされたのはなぜでしょうか?
LRTの開業に伴って、不正駐車や周辺道路の渋滞が深刻化するのを防ぎたいと考えたからです。
栃木県は車社会なので、宇都宮駅周辺の駐車場は常に混雑しており、料金も高めです。一方、ベルモールの駐車場は早朝から無料で利用できるので、駅から直線距離で約3kmと離れているにもかかわらず、ベルモールの駐車場に車を停めて宇都宮駅を利用する人が後を絶ちませんでした。また、スポーツの試合や花火大会などのイベント来場客や、周辺の方による不正駐車も散見されました。このような状況が続くと、ベルモールを利用されるお客さまにご迷惑をお掛けすることになります。
そうしたなか、2023年8月にLRTが開業し、停留所がベルモールの近くに設置されることになりました。LRTの利用者が集まれば、不正駐車や渋滞の問題はさらに悪化すると予想されます。そこで、ベルモールを利用されるお客さまが快適に駐車場を使えるように、有料化に踏み切りました。
―複数社から提案があったそうですが、三井のリパークを選んでいただいた決め手は何だったのでしょうか?
決め手となったのは、最新鋭のカメラ式駐車場システムの導入を提案してくれたことです。社内では当初、有料化すると駐車券の処理やゲートの開閉に時間がかかり、渋滞が悪化するのではないかと懸念していました。しかし、最新鋭のカメラ式駐車場システムであれば、通過するだけでナンバープレートを識別できるので駐車券は必要ないと聞き、それならスムーズだろうと安心できました。
また、ペーパーレスでランニングコストを抑えられることも魅力的でした。従来の駐車券式で、カメラがない代わりに低料金の提案をしてくれた運営会社もあったのですが、長期的に考えるとランニングコストはやはり大切です。何より、お客さまの手間を省けることを最優先に考えました。
有料化に伴う困難も三井のリパークと乗り越えた
―有料化については、社内からの反対の声も多かったとお聞きしています。
それが、有料化に関する最も大きな課題でした。サービスが大きく変わるわけですから、売上が減少するのではないかと懸念の声が上がるのはよく分かります。経営陣にも同じ懸念はありましたが、現場社員の思いはそれ以上で、自身の進退をかけて反対してくれた社員もいました。そこで、何度も話し合いの場を設け、三井のリパークさんのシステムについても説明した結果、合意に至ることができました。
―駐車料金はどのように決定されましたか?
料金設定はとてもデリケートな課題だったので、三井のリパークさんには特に尽力いただきました。ベルモールには多様な店舗が入っており、買い物や食事、映画、温泉など、お客さまに時間を気にせず楽しんでいただくことをコンセプトの1つとしています。そのコンセプトが、駐車料金のために崩れることのないよう、慎重に検討する必要があったのです。三井のリパークさんには、駐車場運営のプロとして具体的なアドバイスをいただき、最終的に「3時間無料に加えて施設利用者(お買上金額1,000円以上)は更に2時間、最大で5時間無料、映画館やフィットネスクラブ、温浴施設の利用者は1日無料」という料金設定にまとまりました。
―システム導入時は、慣れないお客さまからのお問い合わせも多かったのではありませんか?
おっしゃる通り、当初はお問い合わせが非常に多くありました。ベルモールはお客さまの年齢層が高いこともあって、新しいシステムに慣れていただくのに時間がかかったようです。導入後2ヵ月~3ヵ月は多数のお問い合わせが続きましたが、三井のリパークさんと相談して場内看板を追加設置したところ、半分以下に減少しました。
お客さまの安心感につながる、三井のリパークのブランド力
―ベルモールの駐車場の現状について教えてください。
不正駐車と渋滞がかなり解消されました。
以前はベルモールの前で渋滞が起きてしまっていて、周辺住民の方々から「通れない」「自分の家にも入れない」といった苦情も寄せられていました。しかし、有料化によって不正駐車が減少したうえ、駐車場の回転率も向上しました。また、最新鋭のカメラのおかげで、駐車券の処理や入出庫時のゲートの開閉が必要ないことも、渋滞緩和に貢献しているのではないかと考えています。
―三井のリパークに頼んでよかったと思われますか?
はい。
三井のリパークさんは私たちの意見を尊重しながら親身に相談に乗ってくれました。また、お客さまにも「三井のリパークが運営する駐車場」というだけで「ここは有料駐車場なんだ」と認知していただけますし、知名度の高さは安心感にもつながっているようです。三井のリパークさんのブランド力も、成功理由の1つといえますね。