コインパーキング経営とは?
駐車場経営は、アパートやマンションなどの賃貸住宅経営に比べて初心者でも始めやすく、初期費用が抑えられる土地活用方法です。また、駐車場経営をやめてほかの土地活用を行ったり、売却を行ったりしやすいというメリットがあります。これは、アパートやマンションのような建物の解体が必要なく、転用・売却時の準備日数や費用を抑えられるためです。
駐車場経営には、大きく分けて「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類の方法があります。月極駐車場は、特定の契約者を対象とし、1ヵ月単位で賃貸契約を結ぶ駐車場です。一方でコインパーキングは、不特定多数の利用者を対象とする時間貸し駐車場を指します。
コインパーキング経営を始めるにあたっては、精算機や照明、ロック板などの設備が必要となるため、月極駐車場に比べ初期費用が多くかかる傾向にあります。ただし、駐車場運営会社に管理を任せれば初期費用を抑えられることに加え、大きな収益を上げられる可能性もあるでしょう。
しかしコインパーキング経営では、事前の調査が不十分だと失敗してしまうケースがあります。そこで今回は、いくつかの失敗例とその詳しい原因・対策と併せて、コインパーキング経営を成功させるポイントを解説します。
コインパーキング経営の失敗例7つ
コインパーキング経営には、さまざまな失敗例があります。主な失敗例は、以下の7つです。
1. 料金設定が高過ぎた
2. 近隣に競合が出現した
3. 需要が低い場所で始めた
4. 税金を想定せずに始めた
5. パーキング内でトラブルが発生した
6. 撤退に費用がかかった
7. 車を停めにくい地形だった
順番に解説していきます。
料金設定が高過ぎた
コインパーキング経営の失敗例として、高過ぎる料金設定により利用者が確保できず、空車の状態が続くケースが挙げられます。空車率が高く収益が十分に得られない状態では、固定費(経費)の負担が重くなり、経営赤字に陥る恐れがあるため、料金設定は非常に重要です。
料金は、周辺のコインパーキングとよく比較して設定する必要があります。周辺地域の相場よりも明らかに高ければ、多くの利用者を確保することは難しくなるでしょう。
料金設定において、気を配るべきポイントはいくつかあります。時間あたりの駐車料金に加え、1日の最大料金となる「上限料金」にも意識を向けてみましょう。特に長時間駐車することの多い利用者は、上限料金を重視している場合があります。経営するコインパーキングが普段どのような人に利用されるのかを把握したうえで、料金を設定しましょう。
近隣に競合が出現した
近くにより条件のよいコインパーキングがオープンし、利用者が減ってしまうのも、コインパーキング経営の失敗例です。値下げをして利用者を集めるという対策もありますが、結果的に収益が減少してしまい、予定していた資金計画から外れてしまうかもしれません。そのため、基本料金の値下げのみで対処するのではなく、上限料金や夜間時の料金を変えるといった工夫も併せて検討するようにしましょう。
需要が低い場所で始めた
コインパーキング経営をする場所が需要の低いエリアだった場合、十分な収益が得られない可能性もあります。需要が低い傾向にあるエリアは、以下の通りです。
・学生街や学校周辺
・周辺に商業施設が少ない
・近くに大型の無料駐車場がある
このように車を使う人や機会が少ないエリアは、コインパーキングの需要が低くなりがちです。コインパーキング経営を行ううえで、十分な収益を得られる立地かどうかを見極めることは、経営を成功させるポイントの1つになります。
税金を想定せずに始めた
税金についての理解が不十分で、「経営を始めてみると税金の負担が想定よりもはるかに多かった」といった事態に陥らないように注意しましょう。コインパーキングをはじめとする駐車場経営は、初期費用が少なく手軽に始められるというメリットがありますが、毎年発生する固定資産税・都市計画税の土地部分の負担は、賃貸住宅経営よりも大きくなるということを念頭に置く必要があります。
アパートやマンションなどの居住用物件が建っている土地は「住宅用地」とされ、税金の軽減措置によって固定資産税が減額されます。逆にいえば、居住用の物件が建っていないコインパーキングは、住宅用地ではないため軽減措置の対象とならないのです。けれども、確定申告で特例(青色申告特別控除)が適用されると所得税を抑えられることもあります。固定資産税の軽減が受けられない分ほかの税金については可能な限り減らせるよう、経営を始める際には税金に関する知識を身に付けておくとよいでしょう。
●コインパーキング経営にかかる消費税や非課税になる場合に関する記事は
こちら
パーキング内でトラブルが発生した
駐車場内で起きたトラブルにより、余計な出費が発生するのもコインパーキング経営の失敗例です。主なトラブルとしては、パーキング内での事故や無賃駐車、放置駐車車両の対応などが挙げられます。
たとえば、「駐車の際にロック板が上がっていたため、車に傷が付いた」といった、機械の設置状況が原因で起きた事故の場合、管理責任を問われる恐れがあるため注意が必要です。このような事例を回避する対策の1つとして、多くの駐車場ではその立地や用途に適した性能の防犯カメラを設置しています。
撤退に費用がかかった
将来的には土地の売却や自宅の建設など、ほかの土地活用方法への転用を見越して駐車場経営を始めるケースがあります。その際は、駐車場の撤収時にかかる費用も考慮しておきましょう。具体的には機器類や看板、舗装の撤去などに費用がかかるため、これらのコストを見込んで資金計画を立てないと、後で想定外の負担となってしまう可能性があります。
駐車場運営会社に管理を依頼している場合は、撤去費用の負担方法はさまざまです。オーナー負担や管理会社負担、またはオーナーと管理会社が双方で負担するといったように、会社や契約内容によって取り決めが異なるため、確認しておきましょう。
三井のリパークでは、駐車場機器の撤去はもちろん、設置にかかる費用も負担していますので、コインパーキング経営をスムーズに始めやすく、転用もしやすい体制を整えています。さらに、コインパーキング経営の終了後に土地活用を検討する際は、三井不動産グループ各社のサービスを生かした包括的なサポートを提供します。コインパーキング経営に関心のある方は、三井のリパークへお気軽ご相談ください。※1
車を停めにくい地形だった
コインパーキング経営は、一定の範囲で形がいびつな土地や、狭小地、傾斜がある土地でも十分に経営が可能です。しかし、その程度が極端な場合は運転者が車を停める困難さを感じて、ほかの駐車場を選んでしまうかもしれません。
特に、大型車種に乗る方や運転が苦手な方にとってはこのような地形での駐車は難しく、利用しにくくなると考えられます。駐車場経営を始める際は、事前に周辺の道路条件や立地条件、主な利用者層なども含めて、自身の土地が駐車場経営に適しているかを判断しましょう。
コインパーキング経営の失敗要因
ここまでさまざまなコインパーキング経営の失敗事例をお伝えしてきました。ここからは、コインパーキング経営で起こり得る失敗の要因と対策について、事前に行う「調査」と「計画」という2つの観点から見ていきましょう。
調査が不十分
コインパーキング経営を始めるにあたっては、需要と周辺環境の綿密な調査が必要となり、立地的に需要が低いと失敗に陥りやすいのは先にお伝えした通りです。例として、田畑があり人口密度が低い場所、2台目以降の駐車スペースがある一戸建てが多い住宅街、大型の無料駐車場がある商業施設周辺などは、利用者が集まりにくいと考えられます。
加えて、付近に競合がいるかどうかの市場調査も大変重要です。コインパーキングの需要がある立地だったとしても、競合の駐車場が多い場合には、十分な利用者を獲得できないことも考えられます。競合の多い地域でコインパーキング経営を始めたいのであれば、競合駐車場の料金設定をしっかりと確認しておくとよいでしょう。競合に比べて料金が高いと、利用者がなかなか集まらない恐れがあるため、料金設定を工夫する必要があります。
このように、駐車場の開設を予定しているエリアの需要と供給を正確に把握して、実際に課題が見つかった際は適切な対策を講じていきましょう。
計画が不十分
資金をはじめとした計画が不十分だったことにより、コインパーキング経営の失敗につながる恐れがあります。そうならないためには、経営で得られる利益を考え、初期費用としてかかった資金をどのタイミングで回収できるか具体的に想定することが重要です。この際に、管理費や税金といったランニングコストも含めて考えておくと、その後の経営に役立ちます。
また、競合が多い場合には価格競争になることもあります。利用者を確保するために、価格を下げて対応するケースもイメージしておくとよいでしょう。ただし、利益を大きく犠牲にすることがないよう注意が必要です。
また固定資産税・都市計画税の負担額が多いと、期待していた利益が得られない場合もあります。先述した通り、駐車場経営は初期費用がかかりにくい一方で、固定資産税・都市計画税の負担が大きくなるという注意点があります。税金がどれくらいかかるのかを事前に計算したり、税金対策になり得る特例がないか調べたりしておくとよいでしょう。
コインパーキング経営を成功させるには?
ここまでお伝えしたコインパーキング経営の失敗事例を知り、不安を感じた方もいるのではないでしょうか?冒頭でもお伝えしたように、コインパーキング経営は初心者でも始めやすい土地活用の1つです。成功させるポイントを押さえておけば、十分な利益を得ることができます。ここからは、コインパーキング経営を成功させるポイントをお伝えします。
自分に合った運営方法を選ぶ
コインパーキング経営の方法は、主に「自主管理方式」「管理委託方式」「一括借り上げ方式」の3つです。運営方式によって、オーナーが集金や清掃などの管理業務にどこまでかかわるのか、初期費用や維持費用をどこまで負担するのか、などが変わってきます。
たとえば、自主管理方式では経営の全てを土地オーナー個人が行うため、外部への委託はありません。従って、収益は全て自身の収入となります。反面、各種経費が自己負担になることや、駐車場経営のノウハウが乏しいと成功しない恐れがあることは、事前に理解しておきましょう。
駐車場経営が初めてという方におすすめなのは、一括借り上げ方式です。一括借り上げ方式とは、委託先の駐車場運営会社に土地を貸し出し、賃料を得る仕組みです。設備の導入や維持管理、集金などの業務全般を駐車場運営会社が行うため、経営のノウハウがなくても問題はありません。プロに一任しながら安定した収入を毎月得られるのは、メリットといえるでしょう。
三井のリパークによるコインパーキング経営は、この一括借り上げ方式を採用しています。初期費用をはじめ運営や管理に必要な諸費用を負担しており、土地活用の経験がない方にもおすすめです。コインパーキング経営の一括借り上げ方式について知りたい方は、三井のリパークにお問い合わせください。※1
土地活用の目的を整理する
土地を活用するうえで、自分が何を求めているのか整理することは重要です。「リスクを抑えて安定した利益を得たい」「リスクがあっても大きな利益を得たい」などと、希望や方向性を具体化しておくとよいでしょう。コインパーキング経営によって自分が求めている利益を得られるかどうか、具体的に考えながら進めていくと、成功への道筋が見えてきます。
コインパーキング経営で失敗しないためにお金の流れも確認
コインパーキング経営の失敗を回避するため、必要となるお金を事前に計算しておきましょう。先述した運営方式の違いによって、かかる諸費用は変わってくるため、しっかりと把握する必要があります。初期費用や管理会社に対して支払う管理費、トラブルがあった際に発生する修繕費など、どれくらいかかるのかを見積もり、余裕のある収支計画を立てることが大切です。
料金設定についても、事前に決めておくと安心です。以下の要素が分かれば、1ヵ月あたりのおおよその収入をシミュレーションできます。
・利用料金
・駐車可能台数
・稼働率(利用されている割合)
・停めやすさによる稼働率の増減
稼働率の目安や料金設定が難しい場合には、駐車場運営会社に相談してみましょう。プロの視点で調査や分析、アドバイスを行ってもらえます。
なお、コインパーキング経営を行う土地には固定資産税等の税金がかかるため、まずは以下の記事を参考にして概要を理解し、改めて専門家に相談しましょう。
駐車場経営会社に相談して土地活用を進めよう!
ここまで、コインパーキング経営の失敗例や成功させるポイントをお伝えしてきました。コインパーキング経営は、失敗のリスクはありますが、ポイントを押さえることで継続的な収益性が期待できる土地活用方法です。
コインパーキング経営を成功させるためには、自分に合った運営方法を選定し、お金の流れをつかんでおくことが重要です。土地活用の経験がなく不安を感じるという方は、駐車場経営のプロである駐車場運営会社に相談することをおすすめします。実績やノウハウが豊富で信頼できる会社なら、どんなに小さな疑問でも丁寧に答えてくれるでしょう。
三井のリパークでは、駐車場数約1万5,800ヵ所※2の実績をもとに、駐車場経営のさまざまなサポートを行っています。さらに、一括借り上げ方式を採用し、駐車場の設備費用や管理・運営にかかる費用も負担しているため、出費を抑えた経営が可能です。コインパーキング経営を検討している方は、ぜひ三井のリパークにお任せください。※1
※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。
※2 2024年3月末時点