不動産経営のメリット
アパートやマンションを建てたり購入したりする賃貸住宅経営は、安定した収入源となり得るのが大きなメリットです。入居者を確保できれば、長期的に安定した家賃収入が得られ、ローン返済後の収益の増加や老後の資金確保が見込めるでしょう。
また、相続税や固定資産税の負担を減らせるといった節税面でもメリットがあります。収益物件としての不動産は相続税評価額が時価の30%~50%に抑えられ、「住宅用地の特例」適用による固定資産税の節税も可能です。
このように、不動産経営は安定した収入源としての役割だけでなく、節税面でのメリットも兼ね備えています。長期的な視点で資産運用を検討する際に、有効な選択肢の1つとなるでしょう。
不動産経営初心者が押さえるべき6つの心得
不動産経営初心者の方に、押さえておくべき6つの心得をご紹介します。この6つの心得を押さえることで、不動産経営初心者でも成功への道筋を立てやすくなります。
・目標や目的を設定する
・ターゲットを明確にする
・初期費用を踏まえて収益計画を立てる
・空室リスクへの対策を忘れない
・災害リスクへの対策は慎重に行う
・役立ちそうな資格もチェックしておく
目標や目的を設定する
不動産経営を始める際は、具体的な目標と目的を設定しましょう。必要な資金の把握やリスクヘッジの計画を立てるだけでなく、目標があることでモチベーションの向上にもつながります。
ここでいう目標とは、年間のキャッシュフロー額を設定し、収益目標を立てることです。目的とは、節税や老後の生活資金確保などを指します。これらの目標や目的をもとに、経営計画に齟齬が生じていないか定期的に確認しましょう。
ターゲットを明確にする
入居者のターゲット層を明確にすることが重要です。それに応じて適切な立地、間取り、設備を選択する必要があります。
また、既に土地がある場合は、市場調査を行い、ニーズに合わせた賃貸物件の選択が大切です。自分の目で周辺の物件や環境を把握しましょう。単身者、ファミリー、高齢者など、ターゲット層のニーズに応える建築プランが重要です。
初期費用を踏まえて収益計画を立てる
不動産経営には、適切な初期費用の見積もりと収支計画が不可欠です。始める際には、初期費用の10%~30%を目安に自己資金を用意しておくとよいでしょう。諸費用には以下が含まれます。
・ローン手数料
・各種保険料
・登録免許税
・印紙税
・不動産取得税
・司法書士手数料
賃貸物件の建築費は、建物の構造や規模によって異なります。木造であれば比較的安い費用で建築できますが、災害リスクが大きく、修繕やリフォームに多額の費用がかかることも多い点に注意が必要です。一方、鉄筋コンクリート造であれば、建築費は高くなりますが、耐震性や防音性に優れています。予定している経営期間やローン返済プランなどと照らし合わせて、収益計画を慎重に検討するとよいでしょう。
空室リスクへの対策を忘れない
空室は収入の損失に直接かかわるため、対策が必須です。そのため、周辺相場を綿密に調査し、適切な家賃設定を行うことが重要です。
それでも空室が長期化する場合は、募集条件や設備の見直し、室内リフォームを検討する必要があります。また、信頼性の高い賃貸管理会社と提携し、迅速な物件メンテナンスや効果的な入居者募集を行うことで、空室期間を最小限に抑えられる可能性もあるでしょう。
災害リスクへの対策は慎重に行う
災害リスクへの対策は、慎重に取り組むように心得ておきましょう。たとえば建物の耐震性能を確認することが大切です。そのうえで、耐震性能の高い建物や潜在的なリスクの少ない立地の選定を行います。また、定期的な建物の点検と、それに伴う修繕、必要に応じて耐震補強工事の検討も重要です。
保険面での対策も欠かせません。火災保険に加入する場合には、適切な補償内容のものを選択し、併せて地震保険への加入を検討するとよいでしょう。
さらに、万が一に備え、緊急時対応マニュアルを作成し、災害発生時の迅速かつ適切な対応を事前に準備しておきましょう。
役立ちそうな資格もチェックしておく
不動産経営においては、専門的な知識を身に付けておくと役に立つことがあります。たとえば、以下の資格を取得すると、不動産経営にプラスとなる幅広い知識を得られるかもしれません。
・宅地建物取引士(宅建)
・管理業務主任者
・不動産実務検定
・マンション管理士
・賃貸不動産経営管理士
・ファイナンシャルプランナー(FP)
これらの資格取得は、単に専門知識を習得するだけではありません。入居者に対する経営の信頼性の向上、専門家ネットワークの拡大、そして貸主自身のキャリアアップにつながる可能性があります。
不動産経営のリスクや注意点
不動産経営を始める際には、以下のようなリスクや注意点についても把握しておくことが重要です。
・家賃を滞納されることがある
・金利が上昇することがある
・初期費用が高い
・転用性が低い
順番に説明していきます。
家賃を滞納されることがある
不動産経営では、入居者による家賃滞納のリスクがあります。家賃を滞納する入居者がいると、滞納期間中は家賃収入を得られません。加えて、家賃の滞納は長引くほど回収が難しくなりがちで、入居者とのトラブルに発展する恐れもあります。家賃滞納が発生した場合、対応は賃貸管理会社に依頼するとよいでしょう。
金利が上昇することがある
変動金利型のローンを利用して建築資金等を借り入れている場合、金利が上昇すると、ローンの返済額が高くなります。金利の上昇に対応するためには、自己資金を十分に用意することが必要です。ローンの支払いが滞ることのないよう、貯蓄や資産運用などによって備えておきましょう。
初期費用が高い
不動産経営には、建築費(あるいは取得費)をはじめ、各種保険料や登記費用など多額の初期費用が発生します。
初期費用を抑えて土地活用をしたい方には、駐車場経営がおすすめです。駐車場経営であれば、少ない初期費用で初心者でも比較的容易に不動産投資を始められます。
転用性が低い
不動産経営を始めた後、別の方法で土地活用をしたいと思った場合、転用には大きな手間と費用がかかります。なぜなら、更地にするために、建物を解体しなければならないからです。また、アパートやマンションをそのまま売却したくても、1棟を丸ごと購入したいという人は現れにくいでしょう。
しかし、駐車場経営であれば、大きな建築物がないため、別の土地活用方法に切り替えやすいといえます。駐車場経営については、次項で詳しく解説します。
初心者には不動産経営はやめたほうがいいといわれる理由は?
「初心者は不動産経営をしないほうがいい」といわれることがあります。その主な理由は以下の3つです。
・初期費用とローン返済の負担がかかる
・黒字化までに時間がかかる可能性がある
・収益が不安定な場合がある
初期費用とローン返済の負担がかかる
不動産経営のうちアパートやマンション経営では、多額の初期費用が必要です。高額の初期投資をローンで賄う場合、月々の返済には経済的負担がかかるでしょう。
特に、収入が安定していない場合や、想定した家賃収入が得られない状況では、ローン返済が経営を圧迫します。保険料、税金、建物の維持管理費などの追加費用がかかる可能性もあるため、初心者には難しいといわれています。
黒字化までに時間がかかる可能性がある
不動産経営で利益を出すまでには、通常5年~10年程度かかるのが一般的です。初期投資の回収には長期的な視点が必要で、短期間での収益は難しいでしょう。というのは、ローン返済、管理費、修繕費などの支出が先行し、安定した収入を得るまでに時間がかかってしまう傾向があるからです。特に初心者は、この長期的な資金計画と経営戦略の立案が難しく、途中で挫折するケースも少なくありません。
収益が不安定な場合がある
不動産経営の懸念材料として、空室や家賃滞納による収入の不安定性があります。特に立地条件が悪い場合や、ほかの物件と比べて優位性が弱い場合にこの傾向は高くなるでしょう。
また、築年数の経過とともに家賃を下げなければならないこともあるため、長期的な収益の維持が課題です。初心者には、これらのリスクを適切に管理し、安定した収益を確保することが難しいかもしれません。
不動産経営のリスクが心配な初心者におすすめの駐車場経営とは?
不動産経営のリスクを考えて踏み出せないでいる不動産投資の初心者の方には、初期費用が抑えられて経験や知識に自信がなくても始めやすい駐車場経営をおすすめします。まずは、駐車場経営について基本的なことから見ていきましょう。
駐車場経営の種類
駐車場経営には、大きく以下の2種類があります。
・月極駐車場
・コインパーキング
月極駐車場
月極駐車場とは、駐車場利用者とオーナーが1ヵ月単位で駐車場利用契約を結ぶ方法です。収益性は、何台の駐車スペースを確保できるかで決まります。
月極駐車場のメリットは、毎月受け取れる賃料が決まっているため、契約者がいれば安定的に収入を得られる点です。また、料金精算機や看板などが不要のため、安い初期費用で簡単に始められます。
一方で、契約が終了すると収入が減少し、場合によってはゼロになるリスクもあります。さらに、不正駐車の発生にも注意が必要です。
コインパーキング
コインパーキングとは、利用時間分の料金を支払えば誰でも利用できる駐車場です。収益性は、稼働率(24時間のうちどれだけ利用されていたか)によって決まります。
コインパーキング経営のメリットは、料金設定や立地次第で、月極駐車場よりも効率的に収益を得られることです。ただし、ロック装置や料金精算機などの設備を導入する必要があるため、月極駐車場と比較すると初期費用が高くなることに注意しましょう。とはいえ、建物を建てる不動産経営に比べると初期費用はかなり抑えられます。
駐車場経営のメリットとリスク
以下の表は、駐車場経営のメリットとリスクをまとめたものです。
駐車場経営の特徴
メリット |
リスク |
・少ない初期費用で始められる
・狭い土地でも活用できる場合が多い
・手軽に始められる
・転用性が高い
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・税金対策がしにくい
・競合が多い
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駐車場経営は、経営方式によっては少ない手間で気軽に始められます。たとえば一括借り上げ方式であれば、駐車場の管理を駐車場運営会社に委託できるだけでなく、駐車場運営会社から毎月決まった賃料を得られるため、収入が安定しているといえます。駐車場経営についての詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。
不動産経営が不安なら駐車場経営も検討
不動産経営を成功させるには、ポイントを押さえ、入念な事前準備を行うことが重要です。とはいえ、リスクや注意点もあるため、不動産経営を始めることに不安を感じる方もいるでしょう。そのような方には、少ない初期費用で気軽に始められる駐車場経営がおすすめです。
三井のリパークでは、一括借り上げ方式でのコインパーキング経営を承っています。機器・設置・運営管理にかかる費用が全て0円です。(※1)また、将来的に土地の売却を検討している方にも、三井不動産グループの総合力を生かしてサポートいたします。土地活用についてお悩みの方はぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
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※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。