遊休地とは?
遊休地(ゆうきゅうち)とは、住宅、農地、駐車場ほか、何の用途にも活用されず、放置されている土地を意味します。具体例としては、空き地や更地、住宅が建っているのに人が長期間住んでいない空き家の敷地などがあります。
なお、遊休地と似て非なる言葉が「遊休土地(ゆうきゅうとち)」です。遊休土地とは、国土利用計画法の遊休土地制度によって定められた用語で、所定の要件を満たす場合は、都道府県知事から活用や土地売却の助言・勧告が行われます。そして、勧告に従わない場合は、地方公共団体等によって買取の協議が実施されます。
一定の面積以上の遊休地を放置していると、遊休土地の通知を受け、土地活用の行政指導のもと、売却させられる恐れもあります。そのため、現在遊休地を所有しているのであれば、放置したままにせず、有効活用する方法を検討したほうがよいでしょう。
遊休地を活用するメリット
遊休地の多くは空き地や更地であり、建物を解体する必要がないため、土地活用しやすいことがメリットです。主なメリットには以下の3つがあります。
・不労収入を得られる
・税金を抑えられる
・地域貢献につながる
それぞれ詳しく解説します。
不労収入を得られる
遊休地を活用するメリットの1つは、立地や周辺環境に合わせた活用方法を選べば、長期的に安定した収入を得られることです。詳しい活用方法については後述しますが、賃貸マンション・アパートを建てて賃料を得たり、駐車場にして利用料を得る方法などがあります。たとえ初期投資が高額であったり、利益が少額であったりしても、毎月一定の不労収入を得られれば、生活や気持ちにゆとりが生まれるでしょう。
税金を抑えられる
遊休地を活用するもう1つのメリットは、固定資産税や相続税を節税できる可能性があることです。土地を所有していると、固定資産税と、市街化区域に該当する場合は都市計画税が毎年課されます。しかし住宅を建てれば、住宅用地の特例によって、固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1に減額されることもあります。
また、相続税においては、立地や土地面積によっては相続税評価額が高くなり、納税額も高額となる可能性があります。しかし、賃貸住宅を建てて「貸家建付地」として評価されると、土地の評価が下がって相続税を抑えられるでしょう。
地域貢献につながる
遊休土地を活用するメリットとして、地域貢献につながることも挙げられます。遊休地を放置するリスクは、雑草が生い茂ったり、ごみの不法投棄がされたりして、周辺地域の美観や治安を損ねることです。遊休地を活用し、その土地に必要な施設を建てれば、地域への貢献につながり、近隣住民とも良好な関係を築きやすくなるでしょう。
遊休地の活用方法5選
遊休地をビジネス活用するには、主に以下の5つの方法があります。
・賃貸マンション、アパート経営
・テナント経営
・オフィスビル経営
・貸地
・駐車場経営
1つずつ詳しく見ていきます。
賃貸マンション・アパート経営
遊休地を活用する方法として一般的なのが、マンションやアパートなどの賃貸経営です。建物の建築費やさまざまな初期費用が必要で、ランニングコストもかかりますが、経営がうまくいけば高い利益が得られます。
しかし、マンション・アパート経営には、空室や家賃滞納などのさまざまなリスクも伴います。かかるコストやエリアの需要について、詳細を確認するとよいでしょう。
テナント経営
テナント経営も遊休地の活用法の1つで、コンビニや飲食店などのテナントに土地を貸し、賃貸収入または地代収入を得るビジネスです。自分で建物を建てて貸し出す方法と、土地のみを貸し出して事業者が建物を建設する方法の2種類があり、借主の多くは法人や事業者であるため高い収益が見込めます。
一方で、テナント経営は景気に左右されやすいところがあります。また、商業目的の建物を建築した場合、固定資産税・都市計画税の軽減措置が適用されないため、必ずしも節税効果を得られるとは限らないことに注意が必要です。
オフィスビル経営
駅近にある遊休地の場合、オフィスビル(貸事務所)の経営もおすすめの活用方法です。テナント経営と同様に、自分で建物を建てて貸し出す方法と、土地を貸し出して事業者が建物を建設する方法があります。
オフィスの場合、立地によっては、路面に接した1階以外のニーズも見込めるでしょう。しかし、賃料は貸店舗よりも低い傾向があるため、どれくらいのニーズがあるのかを慎重に検討しなければなりません。
貸地
遊休地の活用方法には貸地もあります。貸地とは、所有する土地に借地権を設定して貸し出すことで、賃料収入を得る方法です。土地の所有者は土地を貸すだけなので、初期費用が抑えられ、不動産会社に支払う仲介手数料のみで済むのが一般的です。
貸地は安定した収入が見込める一方で、最短でも10年、長ければ50年以上の契約期間を定めることになり、借地権の種類によっては貸主側からの一方的な契約解除はできません。土地を貸すときは、「普通借地権」と「定期借地権」の違いや、借地権の仕組みについてよく理解しておく必要があります。
駐車場経営
駐車場経営は、少ない初期費用で手軽に始められるおすすめの土地活用方法です。主に、「月極駐車場」と「コインパーキング」の2つがあり、月極駐車場はロック板や精算機などの機器の設置が必要ないため、設備投資やランニングコストを大きく抑えられます。加えて、1ヵ月単位での駐車場の貸し出しが可能で、気軽に始められる点がメリットです。
一方、コインパーキングは、舗装費用がかかるものの、ロック板や精算機などの設備は駐車場運営会社の負担となることが多いため、月極駐車場と同じく初期費用を抑えやすいのが特長です。時間貸しのため、利用客の多い場所で駐車場を経営するのであれば、高い収益が見込めるでしょう。
住宅を建てるのには適していない狭い土地やいびつな形の土地であっても、土地の制限を受けない駐車場経営なら実現可能なケースが多くあります。さらに、駐車場経営は転用性が高く、別事業への切り替えも容易なため、最終的な土地活用方法が決まるまでの間だけ暫定的に駐車場経営を行うことも可能です。
遊休地を活用する際の確認ポイント
遊休地を活用する際、どのような土地であるかによって最適な方法は変わってきます。自分に適した活用方法を見極めるために、確認すべきポイントを押さえておくことが大切です。
用途地域
用途地域とは、市街化区域内で建物の用途が制限されているエリアを指します。具体的には、「第一種低層住居専用地域」や「商業地域」など、13種類に分けられており、「第一種低層住居専用地域」では、店舗や事務所、宿泊施設の建設が禁止されています。用途地域によってはできない土地活用もあるため、遊休地が所在する自治体に問い合わせて情報を得ることが重要です。
土地の広さ
土地の活用方法は、立地条件だけでなく、広さによっても左右されます。そのため、遊休地の最適な活用方法を判断するためには、面積を正確に把握することが欠かせません。土地面積は登記簿でも確認できますが、登記簿の情報が古い場合もあるため、遊休地を測量したり、隣接地との境界を確認したりするほうがよいでしょう。
周辺環境
遊休地の周辺に駅や商業施設があるか否かによって、利用客のニーズは異なります。ニーズを見極めたうえで、最適な活用方法を選択することが大切です。しかし、自身で周辺環境を調査し、土地の需要を分析するのは簡単ではありません。土地活用の経験がない方は、不動産調査会社といった専門家に相談することをおすすめします。
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「遊休地」に関するよくある質問
遊休地と耕作放棄地との違いは?
遊休地とは、何にも利用されず放置されている土地のことです。一方、耕作放棄地とは、過去1年以上作付けが行われておらず、今後も耕作する予定のない農地のことです。また、全く耕作していない、もしくは利用の程度が著しく低い農地を遊休農地といいます。
耕作放棄地と遊休農地は似ていますが、言葉の分類と調査方法が異なります。耕作放棄地は、農林水産省の統計調査で使われる用語で、土地の所有者自身が申告します。一方、遊休農地は、農地法によって定められた法令用語で、農業委員会が年1回の現地調査で判断するものです。
遊休地を放置しておくデメリットは?
遊休地は、所有しているだけで固定資産税がかかり、その土地が市街化区域にある場合は都市計画税もかかります。また、土地管理を業者に依頼する場合は、手間と費用がかかるでしょう。さらに、遊休地を放置しておくと、ごみが不法投棄されたり、害虫や害獣のすみかになったりして、近隣トラブルを招く恐れもあります。
初期費用を抑えた遊休地のおすすめの活用方法は?
先述した5つの土地活用以外におすすめなのは、トランクルームを設置し、貸し出すことで賃料収入を得る方法です。用途制限を受ける可能性があり、賃貸住宅経営に比べると収益性が低い傾向がありますが、比較的初期費用を抑えられます。また、立地によっては市場規模の拡大が予測されるため、将来性が高いといえます。
その他、収益性は非常に低いものの、土地を貸すだけでよい資材置き場は、建物が建てられない土地でもできる土地活用の1つです。たとえば、建物が建てられない市街化調整区域でも人に貸すことができ、契約も解除しやすいため、納得のいく土地活用が見つかるまでの暫定的な方法としておすすめです。
トランクルーム経営よりも初期費用を抑え、資材置き場よりも高い収益性を望む方におすすめなのが駐車場経営です。用途地域による制限も受けにくく、狭小地や建築物が建てられない変形地でも、駐車場経営であれば可能なケースもあるため、土地活用にお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
※1 立地等によってはお受けできない場合もございます。また、建物解体、アスファルト舗装、外構、固定資産税などの租税公課や町内会費はオーナーさまのご負担となります。